間話 ある日の朝
「ゆきさんおはよう!」
「あっ、おはようございます・・・」
「うん?どうしたの?」
「いえ。お髭が大分、伸びたと思いまして」
そういえば、この時代の男の人は髭伸ばしてる人が多いし、なんなら武士は髭を伸ばすのが当たり前みたいだから、オレも伸ばしてたけど揃えてはいなかったな。
柴田さんみたいな野人みたいなのは嫌だけど。
「とりあえず朝風呂入るから、その時に久しぶりに全部剃ろうと思う。やっぱ男子たる者、清潔感が大事だからな」
「クスッ。お好きなように。私はどの姿の剣城様も素敵に思いますよ」
「ありがとう」
朝から嬉しい事を言ってもらい、ルンルン気分で家の横の温泉に入る。
「おう!入ってるぞ!」
いや、何でこんな朝っぱらから信長さんが居るの!?然も我が家の如く温泉に入ってるんだが!?
「おはようございます」
「しかし、朝からこの湯船に浸かるとは、どんな物よりの馳走じゃな!まあ貴様も入れ!」
いやいや、ここ俺の温泉だよな!?何で信長さんが『まあ入れ』とか言えるんだよ!?
「ほう?また変わった物を使っているな?それは何じゃ?ほうほう。髭を剃るのに使う物か。精巧な刃ではないか。貸してみろ!」
あぁ〜あ。俺の損じても切れない5枚刃の剃刀が・・・。
「使い心地は──」
「これは気持ちが良いな!!おい!ワシの顔を剃れ!口の髭は細く!」
何で俺が朝っぱらから信長さんの顔剃りしなくちゃならないんだよ!?けど断れる筈もないよな。
「うむ。男前が更に男前になった!礼を言うぞ!それとこの鏡をもう少し綺麗にしておけ!汚れておる!ここで会ったのもなんじゃ。朝飯を所望する!鮭の塩焼きが食いたい」
チッ。全っ然ゆっくりできないじゃないか!!
ゴグッ ゴグッ ゴグッ
「ぷっは〜!美味い!温泉上がりのコーヒー牛乳こそ至高!おう。金剛とやらも浅井から帰ってきておったか」
「大殿様、おはようございます。まさか来訪しているとは知らず、こんな寝巻き姿で申し訳ありません」
「良い!今日は気分が良い!お主も共に鮭の塩焼きを食おうぞ!」
気付けばオレ、ゆきさん、金剛君、信長さんで朝飯を食べた。いつになく上機嫌で、見た事ない雰囲気の信長さんだ。
「うむ。美味かった!ではまた明日来るぞ!明日はカレーじゃ!貴様の作るカレーを所望する!くれぐれもカレーにバターは入れるなよ?ワシは甘いカレーは好かん!!」
マジかよ!?明日も来るの!?チッ。早急に城に温泉作って遠藤さんに任せないと、オレが休めないぞ!!
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