気付けば薩摩vs大隅?

 「何がどうなっておるのだ!!!糞薩摩人が攻めてきたのは知っている!あの2隻の船は何なのだ!明が我等と敵対したと言うのか!?」


 「殿!落ち着き下さい!志布志は落ちませぬ!今、後詰めを向かわせております!それにあの船から兵が降りてくる気配もありません」


 「だが何故こうも容易く攻め上がられるのか!あの船が目障りだ!何としても沈めよ!」




 味方の兵は恐らく1000もいないと思う。だがオレ達は、小さいとは思うが城攻めに完勝した。ってか本当に一兵たりとも死んでない。怪我人が数人出ただけだ。


 「なんとまあ。このような楽な戦は初めてである」


 「父御ッ!!!」


 「おう!義弘!手柄は!?」


 「名のある者は分かりませぬが、南側は全員討ち取りました」


 「うむ。ようやった!其方等の奇襲によりこちらが手薄になった!よもやこうも簡単に城攻めが成功するとは思わんかった。剣城殿?礼を言う!其方等の銃は見慣れぬな?」


 「今度落ち着けばお見せしますよ。岐阜で量産している銃ですよ」


 「殿!肝付兼続が嫡男 肝付良兼を捕らえました」


 「うむ。皆の者!勝ち鬨を上げよ!あの世に居る忠将に聞こえるくらいの声でだ!!えいえいおー!」


 「「「えいッえいッおぉー!!!」」」


 なんか知らんけど気付けば終わったな。正直簡単だったな。


 「殿ッッ!!御報告にございますッ!!」


 「何だ?」


 「肝付の後詰めらしき部隊、接近中との事!」


 「何人だ?」


 「およそ1500程かと」


 「・・・・・・剣城殿?まだ殺れるか?」


 この人も名前呼びかよ!?いやまあ、そんな事はどうでもいい。次は野戦か?やるしかないだろ!?


 「がははは!見くびられるのは困りますぞ!?些か敵が大した事なく、我等は退屈だったくらいですからな?倅殿がほとんど敵を倒し、我等は準備運動にすらならずでしたからな!」


 「ほう?其方は・・・」


 「我が君、剣城様の筆頭家老の小川三左衛門にございます」


 いや、いつから家老になったんだよ!?


 「うむ!よう言った!皆の者!お主等薩摩の兵児も歳は食っても、この御家老のような勇猛な者になるのだぞ!御家老!引き続き島津を頼む!其方等が喜ぶ褒美は分からぬが恩は必ず!」


 いつの間に小川さんが仕切って褒められてんの!?嫉妬じゃないけど悔しいんだが!?



 「左右に隊を分ける!中央に志願する者はッ!?」


 「おいが!」「おいこそ中央に相応しい!」「いやここはおいどんが!!」


 何かこんな、たちまちに仕掛けるのか!?


 「左右の隊は時堯!お主が率いろ!おいが中央を──」


 「父御!なりませぬ!おいが中央を指揮します!父御は志布志城にてお待ち下さい!」


 「城の城門は使えぬだろう。ここの方が良い。戦力を分散させては意味が無い」


 「なら、剣城君とおいの後ろに!」


 「うむ。よかろう!見事中央を指揮してみせよ!」


 なんだ!?中央がかなり重要そうに聞こえるけど・・・。


 「剣城君?左右に種子島殿が兵を率いる。我等は中央にて敵に突撃した後に少しずつ引く。合図はおいが出す!敵を引きつけて種子島殿が、おい達が引き連れた敵を狩場にて狩る。簡単であろう?」


 いやそれってまさか、あの釣り野伏せって戦術じゃないの!?中央が一手にて敵を迎え撃つやつじゃん!?ヤバイ!笑えない・・・。


 「がははは!我が君!やりましたな!我が君は常に中央が似合うお方!この小川三左衛門がお守り致しますぞ!!」


 「ふん。確かに1番美味しい所だな。いっちょ殺るか!」


 いや、慶次さんまで何でここで士気が上がってんの!?


 「うむ。良い兵児じゃ!剣城殿!存分にな!後ろには常においどんが居る!後方は任せてくれ!」


 「え、あ、はい!クソッ!!もういい!皆!奮戦してくれ!甲賀隊!前だけに集中!!やるぞ!!!」


 「「「おぉ─────!」」」


 「はは!畿内の兵児は士気が高い!言葉戦いに負けるな!」


 オレは半ばヤケクソだ。こんな鹿児島で死にたくない!敵には悪いが最初から全力だ!!


 オレは久しぶりに、トマホークMK-2神様ver.を取り出す。プロミさんでもいいが、なんならオレ達だけで敵の後詰めを撃破する勢いで、やらないといけない。


 「卑怯者の薩摩人め!!御嫡男様をどうされたのか!!!」


 「ふん。肝付の兵共め!返してほしくば我等を抜いてみよ!」


 「そんな寡兵でやはり薩摩人は死にたがりか!馬鹿な奴等め!」


 「皆の者ッ!!!おいに続けッ!!!肝付の兵は一兵たりとも逃すなッ!!!」


 「「「「おぉぉ〜〜ッッ!!」」」」


 ガシンッ ズシャッ ドォンッ


 俺は義弘さんの横に居た。即ち・・・先頭だ。


 「うりゃッ!!!」


 パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ


 気付けば刀を振るうような掛け声で、トマホークMK-2神様ver.をブッパしていた。相変わらず、弾は敵の頭に吸い込まれるかのように、ヘッドショットだ。


 「怯むなッ!!あの南蛮の兜の男を狙え!鉄砲衆!集まれ!!」


 確かに俺はオーディンハットを被ったままだがそれが逆に目立ったのか・・・。


 「あっ、ヤバッ!!」


 「剣城君!屈めッ!!」


 義弘さんの声が聞こえた瞬間、敵の聞きたくない声も聞こえた。


 「撃てッッッ!!!」


 パパパパパンッッッ!!!


 「我が君は殺らせんッ!この我が君から特別に与えられたハルモニアのスーツを見よ!」


 カキンッ カキンッ カキンッ カキンッ


 「な、何だあの者は!?」


 「がははは!!効かぬ!効かぬよ!聞けッ!肝付の兵よ!我が殿を殺りたくばワシを殺してからにせよ!刮目せよッ!!我が方天戟に──」


 「爺さん長ぇよ?地走りッ!!!」


 ズゴォォォォォォ─────ッ!!!


 「「「「う、うわぁ〜!!!」」」」


 間一髪・・・ってか小川さん、まともに弾受けしたけど大丈夫なんか!?ってか、陸で慶次さんの地走りって技、初めて見たけどこれが1番チートのような気がする・・・。地を這う斬撃って何だよ!?反則じゃね!?なんなら田んぼでこの技使えば、耕す手間省けるんじゃね!?


 「慶次坊!お前ワシが話している途中で──」


 「だから小川の爺は長ぇ〜んだよ!敵を見たら殺る!それだけだ!まあだが、よく剣城の盾になったな?見事だ!あれは小川の爺にしか出来ない芸当だ!ははは!」


 「ぐぬぬぬ・・・・慶次坊めが!」


 「ふん。あのままあの世に行っても良かったがな?」


 「一蔵!貴様まで・・・」


 うん。全然大丈夫そうだ。


 「御家老!?大丈夫か!?」


 「島津殿!なんの!なんの!これしき他愛無い!いつもの事ですぞ!!がははは!!」


 いや、オレがいつも小川さんを酷使してるみたいに聞こえるじゃん!?


 「小川さん!助かりました!流石です!帰ればわたあめ食べたいだけ渡します!」



 「チッ。薩摩の馬鹿共が!2番も3番も出せ!数で攻めろ!!」


 「掛かった!剣城君!御家老!前田殿!士気は高いが引くぞ!」


 「ぐぬぬぬ!島津殿!?我が武をまだ見せては──」


 「御家老殿!戦は攻めるのが重要であるが、時には引くのも肝要!攻めてばかりではただの猪武者ぞ?」


 いやおまいうか!?島津兵こそ突撃だけだろ!?


 「ふん!やはり数には勝てぬか!今こそ好機!!尻尾巻いて逃げる薩摩兵をここで討て!追え!逃すな!!」


 こんな時だからか、オレにも戦の《い》の字くらいは、分かってきたかもしれない。もしオレが敵の指揮官なら、あんなに押されていたのに急に敵が引けば、何かしら策を弄していると考えると思う。だが相手の肝付の指揮官・・・誰かは分からないが正直・・・馬鹿じゃね!?と思う。


 現に少し乱戦になったが、こっちは誰一人として脱落してないし、なんなら怪我人すら居ないと思う。状況すらも見えないのか!?と聞きたくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る