野田一蔵の決意

 いやぁ〜、酷い目に遭った・・・。力を見せてくれるって言ったけど時速何キロ出てたんだよ!?


 "キャハッ♪"


 なんか喜んでる件。


 "今から戻るけど誰かと話してる時は頭に話し掛けないでね!?聖徳太子と違ってオレは色んな人と話できないから"


 "オッケー♪"


「おはようございます。とうとう馬に乗れ出しましたか!?」 「おはようございます!馬に乗れていますね!?」 「剣城様!朝からどちらへ!?それにその立派な栗毛の馬は!?」


 "キャハッ♪ 最後の人間はあーしを誉めたんだよね!?あの人は少し乗る事を許可しよっかなぁ〜!?"


 早速話し掛けてくるんだが!?しかも褒められるだけで乗る事許可するのかよ!?チョロい馬だな。


 「みんなおはよう。実は馬を見つけたんだ。それでなんとなくだけどこの馬の考えてる事が分かるんだ。名前はノアって名前にしたから」


 「がははは!流石、我が殿!イージスも大黒剣も宜しいですがやはり馬に乗れんのは些か可笑しいとは思うとったんです!」


 あぁ!小川さん悪かったな!?他の馬はまだ多分乗れないさ!ノアだから乗れるんだよ!


 「剣城?少しいいか?ノア号を見せてくれないか?」


 「いいですよ。それに号はつけなくていいですよ」


 「ほ〜う。いい毛並みだ。それにこの、たてがみの色は珍しい。足の方は・・少し痩せているが良い馬だ!これをどこで見つけたんだ?」


 「あっちの・・・森の・・中です」


 「ふ〜ん。森の中ね〜。俺も探しに行こうかな?な?剣城?少し歩こうや?」


 いや、慶次さん怖いっす!そりゃ自分でも破綻してる話とは思うけど咄嗟にはこれしか考えられなかったんだよ!


 






 「で?剣城?本当の事を言え」


 いや詰問ですか!?オーラがヤバいんだけど!?


 "剣城っち!殺っちゃう!?♪ ねぇ!?殺っちゃうの!?♪ "


 ノアは小川さんみたいに好戦的なんだけど!?絶対殺らないから!!


 オレはしどろもどろになりながらこの出来事を言った。


 「ったく。そんな事だろうと思ったぜ。いいか?剣城!俺はお前に命を預けている。他の者もお前に忠誠を貫くだろう。それくらいお前とは居心地が良い。必要な嘘なら良いだろう。だが味方を騙してどうするッ!?」


 「すいません。咄嗟の事で・・・」


 「今後気を付けておけ。それでこのノア号は言葉が分かるんだろう?俺とも話せるのか?」


 「話せるのはオレだけで慶次さんの言葉は理解はしています」


 「ほう。牝馬だよな?俺の豊風に会わせてみたいな。清洲に帰れば試してもいいか?」


 「いいですけど、斎藤倒したら本拠地はここになりますよ」


 「ほう。まるで決められてるみたいな言い方だな?」


 「正直、美濃はこの時代の要所ですからね。京から程良く離れて海も程良い距離ですからね。まあ騙していた事はすいませんでした」


 「いいさ。酒300合で許そう」


 いや300合ってヤバ過ぎだろ!?


 「ノア号!お前のご主人はやる時はやる主だからな!?その身体に恥じぬ走り、俺も楽しみにしているぞ!いつか俺の豊風と走ろうぜ!」


 "キャハッ♪ あーしこの人間嫌いじゃないよ"


 その後、皆の所に戻り事情を話すと普通は驚くところだろうが「やっぱりな」「そうだと思ったよ」「見慣れぬ道具が付いてるから乗れたのかと思った」

とか色々言われた。オレに慣れたせいか甲賀の人は驚かなくなってきているな。


 「殿?よろしいでしょうか」


 「どうしました?」


 「ゆきから聞きました。この戦の後、甲賀へ向かうと。是非、某もお供致したく」


 「オレは構わないけど野田さんは大丈夫ですか?」


 「既に甲賀とは決別致しております。個人的に山中と決着をつけようかと」


 「ここだけに話は止めておいて下さい。これから言う事は内緒ですよ」


 オレはこの後、暫くすると六角が潰れ信長様がこの中部地方に台頭してくる事を言い、関所の奴にオレは落とし前を付けに行く事を言い、ゆきさんのお父さんと望月さんに贈り物をする事を言った。


 「では山中には何もしないと!?」


 「いや、何もしない訳ではないです。そうですね。私がもっと頑張って野田さんや杉谷さんや他の人達をもっと良い服やら装備やらを渡して裕福にしてあげる事でしょうか」


 「どういう意味でしょうか?我らは今でも前より良い生活です」


 「日の本一裕福な忍にして甲賀の六角寄りの考えの人を見返しましょうって事です。もしその後オレや織田、はたまた旧知の知り合い、野田さんを頼って仕官に来ても野田さん達程は厚遇しないよって風にする予定です」


 「成る程。ですが我らに贅沢は不要でございます」


 「なーに言ってるんですか!?毎晩ウイスキーとか飲んでるの知ってるんですよ!?野田さんはシャインマスカット好きなんでしょ!?リサーチ済みですよ!」


 「殿には敵いませんな・・・。この野田一蔵、残り幾許もない身ですが残りの人生、芝田剣城様に捧げます」


 「ははは!畳の上で往生できるように頑張りましょう!後、あのノアの飯なんですが私と同じ物食べさせてくれますか?」


 「ノア様がそうお望みで?」


 「うん。オレと同じ物食べたいんだとさ」


 「畏まりました」





 「皆の者ッッッ!!!集合ッッッ!!!」



 とうとう来たか。進軍が始まるのか・・・。ドキドキしてきた。てか、オレ朝飯食べてねーや・・・。

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