自分の意思で敵を撃つ

 「美濃三人衆との人質受け渡しが終わった。まだ到着しておらんがこれより進軍を開始するッ!」


 「「「オォォォォォォォォ─────ッッッ」」」


 「やっと貴様も馬に乗れ出したか!天晴れである!芝田隊!道を作ってこいッ!!」


 「「「オォォォォォォォォ─────ッッッ」」」


 いや信長さんにも馬乗れる事褒められるのか!?案外どんな馬だ?とか突っ込まれなかったな。


 「これより信長様の悲願、美濃を制圧します。各々方、よろしくお願い致します」


 「「「オォォォォォォォォ─────ッッッ」」」


 「ほう。貴様の部隊は士気が高いな。期待している。何かあればすぐに知らせよ」


 



 "今から戦争するからよろしく頼むよ"


 "オッケー♪"


 こんな軽い感じだけどノアは大丈夫なのか!?




 「ここ瑞竜寺山って言ったっけ!?何でこんな所に城なんか造ったんだよ!?」


 「そりゃこの地は見ての通り要害だからな。敵もここから攻め上がるとは思っておらんだろう。現に見張りの一人も居ないではないか」


 「こんな山の中で野戦砲は撃てそうにないな。後どのくらいで城に到達できます?」


 「もし斎藤の兵が居ないとして昼過ぎには城攻めだが・・・。そこまで敵もアホではないだろう」


 「ちょっと偵察してくるけどいいかな?」


 「殿!」 「剣城!?」 「剣城様!?」


 「あれ?オレおかしい事言った!?」


 「がははは!流石、我が殿!殿自ら斥候とは恐れ入った!者共!殿はやる気だ!ノア号に負けぬように我らも着いて行くぞ!」


 「「「オォォォ───ッッッ!」」」


 "キャハッ♪"


 いやオレはノアの足の速さで敵を見てこようかと思ってただけなんだけど・・・。なんかノアまで喜んでるんだが!?


 


 "剣城っち♪ もう少しで違う人間が居るよ!殺気放ってるよ♪ "


 いや明らかに戦の雰囲気じゃないんだけど・・・。まず間違いなく斎藤の兵だよな。あれから小走りで山を上がっているけど全く兵士は見当たらないし、ノアは気配が分かるらしいがノアが『居ないよ♪』って言ってたから間違いないだろう。


 「もう少し先に4人、斎藤の兵が居るみたいです」


 「分かった。隼人!金剛!与六!俺に着いて来い!」


 「慶次さん、悪いけどこの斎藤の兵は俺に殺らせてもらえませんか?」


 「・・・・・・・・・分かった。剛力、金剛だけで良い。剣城の後ろへ。剛力は念の為にしーるどを用意しておけ」


 「御意」


 オレは以前怒り狂ってトマホークmk-2神様verを撃ち人を殺したが今回は自らの意思で撃ち覚悟を示そうと自分で思っていた。殺られる前に殺る。もう躊躇しない。

 ノアに乗って静かに敵に近付き目視出来る所まで進んだ。オレは静かにノアから降りて目で慶次さんに合図した。オレはいつでも撃てるように手にトマホークmk2を持ち念の為に離れてる距離から相手に問うように伝える。


 「そこに居るは斎藤の兵かッ?」


 「なに!?こんな所からだと!?敵方、織田の兵だ!」


 そう叫びつつ槍を持ちこちらに向かってきたのでオレは無言で相手を見据えて引き金を4回引いた。


 パスっパスっパスっパスっ。


 「・・・・・・・・」


 こんなものか。今オレが敵を殺したけど特に思う事もない。ゴッドファーザーのお陰で4人全員ヘッドショットになって恐らく即死だろうけど呆気ない。


 「剣城?大丈夫か?」 「剣城様、具合は如何ですか?」


 「大丈夫です。今回は躊躇せず撃てました」


 「あれは見張りでも下っ端の下だ。これより城に近付くにつれ兵が増えてくるだろう。くれぐれも突出するなよ?ノア号。俺の言葉、分かるんだろう?剣城を頼むぞ!」


 "皆から慕われていて剣城っちは幸せだね♪"


 "そうだね。最初どうなるかと思ったけど今が1番楽しいかも"


 オレが兵を撃ってから皆が・・・特に小川さんの士気が上がり、一応隠密!?ぽい作戦だったがいつからか甲賀の人は競い合うように名前を言いながら山を駆け上がり慶次さんも時折目で合図しながら『織田信長直属、料理ご意見番!芝田隊、参上!』と名乗りながら敵をぶっとい槍で突きながら山を上がる。オレも皆に負けじと前に出て銃を撃つがオレが前に出ると小川さんがオレの前に出て、小泉さんが小川さんに負けじと前に出て更に慶次さんが前に出て、今まででは考えられない快進撃であっという間に稲葉山城下に着いた。


 「がははは!ワシは60は倒したな!」


 「ふんっ。我は70は倒したぞ?」


 「なっ何を!?嘘を言うな!」


 「三左衛門の方こそ耄碌したか!?」


 いや小泉さんも小川さんも競い合ってないからな!?首の数なんか関係ないからな!?


 「思わぬ快進撃で敵方の指揮官らしき首級をお忘れでお待ちしました。ご確認お願い致します」


 そう大野さんに言われた箱に入れられた物を気にせず見た。


 「ヒィィィィィィィィ───────ッッ!!!」


 「がははは!我が殿は敵を倒すのは躊躇ないのに首級には声を上げますと!?がははは」


 「大野さん!そんな物要らないから捨ててしまいなさい!いや、捨てるのはダメだ!ちゃんと燃やしてあげなさい!」


 「え!?首級ですよ!?後で恩賞に──」


 「オレは要らない!欲しいなら上げるから!」


 「ははは!剣城はオレと同じ!恩賞なんか要らないのさ!次郎左衛門殿が貰っておけ!それに、ゆき!」


 「はっ、はい!」


 「お前は剣城の記録するんだろう?この事ちゃんと書いておけよ?初めての首級にビックリしたとな?ははは!」


 ぐぬぬぬぬ・・・。慶次は絶対に今日は酒出してやらねーよ!!!


 「我、杉谷善住坊。100は撃ちました」


 「杉谷の小僧が!!何を言うかッ!!」


 「そうだ!お主が撃ち損なった敵を…」


 

 「相変わらず元気だな。敵が可哀想だ。とりあえず野田さん?トランシーバーお願いできる?」


 「はっ。何と言いましょう」


 「うん?普通に城下まで到着したでいいんじゃない?」


 「分かりました」


 「こちら芝田隊、野田一蔵。城下まで到達。敵方の首級多数。現在城からの攻撃は無く城下の人間は少なく城に匿っているかと思われます。どうぞ」


 『こちら織田家。無線班、前田利家。了解した。被害状況は?』


 「剣城様が馬から降りる時に、けやきの葉で擦りむいたくらいで後は被害なしです」


 『はんッ。見事な活躍である。このような短時間で駆け上がるのは神速の如くである。我らもこれより参る。それとそこにお前達の殿は居るか?』


 いや、あの信長さんの呆れた鼻で笑う音拾ってるぞ!?しょうがねーじゃねーか!?普通に切ってしまったんだから!!


 それにあの前田利家さんがトランシーバー扱ってるのか!?謹慎が完璧に解けたんだな。良かった!良かった!一度会いに行こう!それにオレの呼び出しか!?


 「芝田剣城です。どうされましたか?」


 『お主が剣城か!?我が居ない間にまつやら慶次が世話になっているようだな?顔を見せずこんな形で悪いがすまん。それとこれより我らも上がるからくれぐれも我の敵も残しておけよ!?通信終わり』


 あーあー、あっちはあっちでまだ言い合いしてるわ。


 「剣城様、一先ずお疲れ様でした。すぽーついんりょうです。ノア様の方もどうぞ」


 「ゆきさんありがとう。助かるよ」


 "キャハッ♪ これ美味しいね!剣城っち!キャハッ♪これ美味しいね!剣城っち!"


 なんでノアは2回同じ事言ったんだ!?大事な事なのでってやつか!?

 

 「鈴ちゃん達はどうだった?」


 「敵が一人しか倒せませんでした・・・」


 「私もです。あのバトルジャンキー達のせいです」


 「まあそう言いなさんな。野田さんは大丈夫と言ってたけど一応皆の怪我の具合調べておいてくれる?後、返り血は綺麗に洗うように!」


 「了解しました」


 「お菊さん?あの家に残ってる人達はこれからどうなるの?」


 「抵抗するようなら殺します」


 「てか何であの人達は城に匿ってもらってないの?」


 「役に立たない人達だからです」


 お菊さんはバッサリと言った。何かしら身体が不自由や歳で戦働きが出来ない人の為、見捨てられた人らしい。確かに数人しか居なく老人ばっかだが・・・・。可哀想だな・・・。


 「剛力君!簡易的な陣を作り、小泉さんは野戦砲、炮烙玉の用意!大膳君は炊き出しの用意!小川さんとゆきさんはオレと一緒に城下の人の声掛けします!他は休んで下さい!ちゃんと、衛生班の言う事は聞くように!」


 「やはり弱者は見捨てないんですね。優しい我らの殿らしいです」


 「うん?お菊さん、何か言った?」


 「いえ、何でもありません」


 「あっ、金剛君は奏ちゃん連れて来て。医療道具と栄養ドリンクも一緒に」


 「畏まりました」

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