柴田さん預かりになりました
家に着くとそこは大きな平家の家だった。二人の男性が迎えてくれる。
「殿!お疲れ様でございます。見慣れぬ人がおりまする。お客人ですか?」
「今回お館様にお仕えする事になった芝田剣城という奴らしい。同じ名字だが字が違うらしい。お館様様からワシの預かりになった。済まぬが一緒に面倒を頼む」
2人は、茂左衛門さんと勝兵衛さんって名前らしい。
「すいません、芝田剣城(つるぎ)と言います。よろしくお願いします」
オレがそう言うと嫌な顔もせず茂左衛門さんが濡れた手拭いを渡してくれた。それで足を拭いた。
「茂左衛門、勝兵衛!この剣城という奴は変わった技を持っておる。だが戦は出た事も無いらしい。これから毎朝木刀の素振りをさせる。折を見て槍、弓なども教える。其方らも頼むぞ。後、おぬしらの事だから心配などはしておらぬが此奴の事は他言無用ぞ」
「「はっ!」」
2人は揃って返事をした。
えっ!?!?毎朝素振りするの!?絶対無理無理無理無理!!!と思ったが、断れる筈もなく俯くだけだった。ピストルはあるけど、これはオレの生命線だ。無闇に人に見せない方がいいかもな。
それから柴田さんがこちらへ来いと言い服を渡してくれた。そんな良さそうな服ではなかったがありがたかった。着るのに手こずってたら柴田さんが手伝ってくれた。が、何故か寒気がした。
いやいやいや!!40歳くらいの(柴田勝家 1522年誕生説)おじさんに服着させてもらうとか全然嬉しくないんっすけど!!!てか、この家女っ気ゼロなんですが!!!名のある武将がどういう事ですかっ!?!?何故か服着終わったら柴田さん満足気に頷いとるしっ!!
「ワシは以前、殿に刃を向けた事がある」
おいおい!語り出したぞ!!!あれだろ!?たしか家督相続の時、信行側に最初仕えたんだったかな!?んで、たしか桶狭間と斎藤との戦いは参加できなかったがそれから徐々に頭角を表したんだったよな、この柴田さんは。
「ええ。存じております。たしか信行様に家督相続をさせたかったとか?でしたよね?」
「うむ。其方は確かに未来から来たのだな。ならワシがこれからどうなるかも知っておるのだな?お館様がお主をワシの預かりにした事は一見お主を鍛える様に言ったが恐らくまだ信用されてないのだろう。現に今川の戦にも斎藤の戦にもワシは呼ばれん」
「いや、私の知ってる未来では柴田勝家様と言えば誰もが豪傑で情が熱い人だと知ってると思います。詳しく言えばこれからの言動、行動が霞んでしまうかもしれないので私は何も言いませんが柴田様の活躍が織田家に大きく響くのは間違いありません」
「そうか。何か変な感じだな。戦も出た事の無い、褌一丁だったお主にワシを諭す様な事を言われてるが妙に心に響く。いつもなら即刻斬ってやるのだがな」
「怖い事言わんで下さい!!私の居た時代では国内・・・日の本での戦は無いんです。みんな平和な世界なのです」
「だろうな。戦にも出てない男がそんな腹をしとる。手も分厚くもなんともない。さぞかし未来は平和なのだな。その平和の礎を信長様が作ると?それにワシの活躍が関わると?」
しれっとオレを貶していくスタイルですか!?
「柴田様の活躍もですが織田家全体の活躍です。その中で武の象徴は私は柴田様だと思いますよ」
そう言うと柴田は目を瞑り頷き『明日から励むか。』と言った。
少し考えた後、柴田さんは茂左衛門さんに飯の用意をするように頼んだ。
「茂左衛門!さっき信長様から美味い酒を褒美に貰ったんだかこれが美味くて美味くてな。酒だけで肴が無くてな。悪いが何か作ってくれんか?」
オレは無闇にネットスーパーで物を与えるなと信長様に言われたが最初だけプレゼントという事でいいかな?と思い、
《日本酒》¥8000
《ビール350ml1ケース》¥5000
《サキイカ》¥200
《ポテチ》¥150
を購入し、さっき受け取ってもらえなかった鮭も取り出し柴田さんの前に出す。
「何の真似だ?」
「さっき信長様から無闇に与えるなと言われましたが私はこれから柴田様にお世話になる予定です。それがいつまでかは分かりませんが1日2日ではないでしょう。なので先にこれだけは受け取って下さい。柴田様はこの様な事が嫌いな性格とは存じておりますがこれだけは受け取って下さい」
オレは商品を柴田さんの方に渡すとまた目を瞑り考え出した。
「普段ならこんな賄賂みたいな事ワシは嫌いなんだがな。だが、さきの酒は美味かった。これはお主からの世話賃として頂くとしよう」
柴田さん、一度も断らずに受け取りやがったな!?さては余程に酒が好きと見える!!
毎日はダメだがオレもこれでビールも飲みやすくなるし、バレなかったらいいよな!?バレても信長様にもっと高価な物出したら許してくれるよな!?
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