警備大将 芝田剣城!
出迎えは吉蔵さんや芥川さんや八田さん達だ。オレ達の船が見えると全員がこちらに向かい、整列をしている。
そして、程なくして小舟にて吉蔵さんが迎えに来てくれた。
「うむ。出迎えご苦労!其方は・・・吉蔵だったな?」
「はっ。名を覚えていただきありがとうございます」
「これからも新鮮な魚を頼むぞ!期待している!薩摩から客人も乗せている!丁寧に頼むぞ!」
「はっ!」
横柄な態度の吉蔵さんだったが、人が変わったように丁寧な態度になっている。何かあったのかな?
その後、すぐに剛力君や金剛君も現れ、皆に出迎えられる事になる。大膳君?大膳は荷物運びだ!以前、下賜してあげた実戦には邪魔でしかなさそうな、エクスカリパーを背中に装備して指揮している。
とりあえずは岐阜城に向かうとの事で、久しぶりに大黒剣の登場だ。信長さんは小雲雀号での速駆けだ。元気な信長さん。これから更に時代が動き出す。
剛力君の運転で、島津さん達は馬車にて岐阜城に到着だ。ちなみに馬車は最近流行っている。バス代わりとして、定期馬車を走らせる事にしたらしい。発案はなんと奇妙君だ。
Garden of Edenの定期購入している本に、バスの記述があったらしくそれをヒントにして、バスは作れないが馬車で代用できる!と思い発案したらしい。
半兵衛さんなんかより策士だと思う。いや本当に。
この日は疲れもあるだろうとの事で、特に何も無く解散となった。何でオレは一度城に呼ばれたのか・・・。登り降り、まあまあしんどいんだけど!?
そして久しぶりの家だ!
「ただいま!!」
「お帰りなさいませ!」
元気よくゆきさんに出迎えられる。オレは久しぶりという事もあり、思わず抱きしめてしまう。後ろに小見さんも見えるが、今はゆきさんエキスを貰わないと倒れそうだ。
「剣城様・・・少しお待ちを・・・」
「ほほほ。久しぶりの再会でしょう。妾は後にしましょうか」
気を利かせてくれた小見さん。後ろには小川さんも居る。剛力君も金剛君も居る。変わらない家。変わらない皆。こんな毎日が続けばいいのにと思う。
「はい!これ!ゆきさんにお土産!南蛮の洋服だよ!」
「小見様はこれです!趣味が分からなかったので、志布志や薩摩で見えたら全て買ってきた花瓶です!」
「ほんに、剣城殿には気を遣わせてしまって・・・」
「いえいえ、小見様にはお世話になりっぱなしですので!はい!次はお菊さん!お菊さんはカステイラだよ!」
「ありがとうございます・・・カステラとは違うのですか?」
「ごめんごめん!これが本物のカステイラだよ!昨日買った物だから大丈夫だと思うよ!」
正直、通販で購入したカステラの方が美味しいと思うが、記念品やお土産にはこういうのでもいいと思う。
この日は久しぶりの家で寝れるという事もあり、早々と地下の部屋に行く事にした。ゆきさんと愛を重ねる重要な時間だ。
ゆきさんは『風呂に入ってから』と言っていたが、オレは我慢できなかった。今のそのままのゆきさんを抱きたかったのだ。
この日のゆきさんはどこか違っていた。いつもは受け身のゆきさんだが、久しぶりという事もあったのか、中々離してくれなかった。
ただ、オレも長い方ではない為、すぐに果ててしまったが、終わってからも手を離してくれないのだ。
「剣城様・・・私は幸せ者です。こんな立派な召し物、家を貰い過分な配慮をいただきました」
「どうしたの?」
「どうか・・・どうかこれからも剣城様とご一緒させて下さい」
「当たり前じゃん!今日という日をどれだけ待ち望んでいたかだよ!」
この日、初めてオレは・・・Garden of Eden 史上初の相手の温もりを直に感じる、選ばれた者しか装着できない物を使わずに、ゆきさんと事を致した。
ゆきさんはオレが果てた後、泣いて喜んでくれていた。
一晩は早いもんですぐに朝になった。今日から通常営業だ!と意気込んだのも束の間・・・。
「剣城様!?剣城様、おられますか!?」
外からオレを呼ぶ声がする。この家はオレの配下の人が順番で泊まる事になっている。それでも部屋は余っているレベルだ。小川さんと金剛君は常時、この家に居る事になってはいるが・・・。
「剣城様、失礼します。遠藤様がお呼びでございます」
「金剛君、おはよう!分かった!すぐに向かうよ!」
「御意。応接室に通しております」
応接室・・・この時代にそぐわない名前の部屋だが、本当に応接室だ。オレが購入して出した調度品の数々・・・何の為に購入したか分からないナマハゲのお面や、ゆきさんが『欲しい!』と言った、虎柄の絨毯なんかを敷いてある部屋だ。
ちなみに、畳の上にソファーやテーブルを置いてある部屋だ。Garden of Edenの説明によれば『識者の意見を取り入れた作業が捗るテーブルと椅子』というのも置いてある。勿論オレ専用だが、外回りの多いオレは使う事は少ない。
「朝早くに申し訳ない」
「お待たせしました!おはようございます!昨日はお疲れ様でした!」
「いえいえ。お館様が動くそうです。朝倉様に文を送っているそうで」
「義秋さんを連れて上洛ですか?」
「恐らく・・・某も詳しくは聞いておりません。浅井様にも文を送っておりまする」
「何日くらいからですか?」
「その事を直接言いたいとの事で、登城願えますか?」
「分かりました」
んな事なら昨日にでも言ってくれよ!と思う。そんな事は言えないが、本当に城に上がるのって軽く登山なんだよ!!
城に上がると早速、お歴々の人達も来ていた。そして暫く振りの柴田勝家さんも見えていた。
「あ!柴田様!お久しぶりです!」
「おうよ!久しぶりだな!何でも薩摩で暴れたらしいではないか!」
「いえいえ、そんな事ないですよ!」
「謙遜するな!」
柴田さんは本当にオレを褒めてくれているようだ。
その後、丹羽さんや木下さん、池田さん、佐々さんなんかとも雑談をしていると、信長さんの登場だ。
「皆の者!よう参った。薩摩土産じゃ!カステイラと申すらしい!食ってみろ」
いやいや、オレがお菊さんに買った物と同じじゃね!?
「うむ・・・これは・・・」
「・・・・・うむ」
「少し・・・硬いですな・・・」
「ふん。此奴が以前に出したカステラの原型だそうだ。取るに足らん!つまり南蛮のカステイラを、我らの方が凌駕しておるという事だ!」
いやいや。カステラ一つで勝ち誇る事か!?
「さすが!お館様!!」
いやいや。佐久間さんはまたヨイショか!?
「ワシは薩摩に行く前に文を出しておった。浅井と朝倉にだ!浅井は返答が来た。近江から山城までの道は任せろだとな」
「朝倉殿からは!?」
「時が早いと言っておる。それと同時に義秋殿からの文も届いておる。これじゃ」
そう言うと足利義昭・・・今は義秋だな。その義秋からの手紙を皆に見せた。ミミズが張ったような文字で、オレは読めないんだが!?
「麿を連れて上洛せよ!さすれば・・・御門役奉行を確約しよう・・・?お館様!?これは!?」
「ふん。知れたことよ。要は織田が京を制圧し義秋殿を将軍に就かせる。その後の警備は織田に任せるという事だ」
「おめでとうございます!さすがお館様──」
「佐久間は少し静かにせい。ワシはこんな役職、甚だ御免だ。まるで義秋殿の下と丸分かりではないか。ワシは誰の下にも付かん。だが今はこれを飲む。尾張の田舎侍から脱却するのだ」
「よっ!!流石お館様!!」
やっぱ佐久間さんは佐久間さんだな。ヨイショが凄すぎる。
「勝家!手筈はどうなっておる!?」
「はっ。飛鳥井様と協力し、まずは美濃に義秋殿を迎える手筈となっておりまする」
「よし。丹羽!お主はタヌキに連絡を取り協力せよ!」
「はっ!」
「滝川!お主は六角と北畠の状況を見ておけ!草の者を使い上洛する噂を流せ!」
「はっ!」
「佐久間!お主は島津殿達の住む場所を急いで作るように致せ!」
「畏まりました」
呼ばれておいてオレは今回は何も無いのか、と思っていると急にオレが呼ばれた。
「剣城!」
「え!?あ、は、はい!」
「なんじゃ!その情けない返事は!?剣城ッッ!!」
「はいッ!!」
「うむ!貴様は義秋殿を出迎えし接待致せ!その後、警備大将じゃ!」
「え!?警備大将!?」
「良かったではないか!剣城よ!おめでとう!出世じゃな!」
そう言ってくれたのは可成さんだ。
「義秋殿の警備を任されておるのだ!失敗するなよ!?」
「ふん。可成も煽てるな!丁度良い。お主が将として補佐してやれ!万が一にでも失敗の無いようにな!皆の者ッ!!励めッ!!」
「「「「はっ!」」」」
退出すると皆から褒められる。
「良かったではないか!大将!」
「警備大将とは流石ではないか!ワシは三河まで使いっ走りだぞ!」
「ワシはお主の下は勘弁じゃぞ!」
「チッ。森殿が居るから安心じゃが調子に乗るでないぞ!」
木下さんや丹羽さん柴田さんなんかは、半分笑いも含まれているが、本当に褒めてくれてるようだが、佐久間さんは不満みたいだ。
警備大将・・・要は守ればいいんだよな!?
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