バトルジャンキー共

 「えっと・・・どうされましたか!?」


 「貴様は昨日何をした!?」


 いやマジでキレかけなんだが!?


 「昨日・・・ですか?昨日は用意した大砲撃ちました」


 「大砲だと!?いつ!?どこで!?どの方面に!?どうやって!?詳しく言え!」


 ガキの使いか!?いつどこで何時何分地球が何回回った時!?って言葉を思いだして少し笑ってしまった。


 「まさかッ!!お主はこうなる事が分かって・・・」


 いやどうなってるか分からんけど、壮大な勘違いだと思いますよ!?


 その後、今の状況を聞き俺が昨日行った事を言った。


 「そんなワシは許可しておらんぞ!!」


 はい出たよ。絶対言われると思った言葉。


 「トランシーバーで確認致しました。慶次さん、お菊さん、小川さん、杉谷さん、小泉さん、私の家臣金剛君が聞いております」


 「ぐぬぬぬぬ・・・。ワシは酒に酔った事ないと言うのに・・・覚えておらぬとは・・・」


 いやめっちゃ、トランシーバーからの声酔ってましたよ!?と言いたいけど言えないよな。


 「殿!失礼致しまする。だいぎんじょうの件ですが実は殿と矢部殿達が飲み干しています」


 「なんだと!?益氏!!証拠は!?証拠を出せ!!!」


 いや滝川さんってこんな人だっけ!?冷静沈着、寡黙な人って思ってたんだけど・・・。


 「証拠は殿の体が一番分かっている筈」


 益氏さんも中々返しが上手いな!?


 「ぐぬぬぬ・・・。ワシが飲んでしまったと言うのか・・・。剣城、すまぬ。使者に渡す一番の土産、だいぎんじょうがもう無い。出してはくれぬか!?」


 「別にいいですよ。そんなたまげる程高価な物でもないですし。なんなら、大吟醸じゃなく普通の澄み酒で量が多い方がいいんじゃないですか?」


 オレはいきなり高い酒より、ランクは低いが現代の大容量の安い酒を提案した。大吟醸は一本の値段はそうでもないが、大量となるとそれなりに値段がするので、何か功績を残した人に渡すくらいがいいんじゃないか、と思ったからだ。それに色んな人に飲んでもらうのじゃなく限られた人、頑張った人が飲み感想を言い、飲んだ事ない人が飲んでみたいと思い、功績を上げようと頑張る。中々良い構図だな。

 それで森さんが頑張ってもう少し酒精が強い酒を造り、酒類を増やして尾張に来てくれた人や商人に渡し、各地で売ってもらう。それを求め銭を出し尾張に集まる。


 「ふふふ。我ながら策士だな!ふふふ・・・ははは・・・はーっはっはっはっはっ!」


 「滝川様、失礼します。剣城様!!御免!!!(バチンッ!!!)」


 「痛ッ!!あれ!?お菊さん、いつの間に!?」


 「また内なる者が出かけておりました」


 「菊・・・今の此奴は何だったのだ!?」


 「滝川様・・・説明しますと長くなります。要約致しますと剣城様の中にもう1人の──」


 「だぁぁぁぁぁぁ─────!言わなくていい!滝川様、すいませんでした!以後気を付けます!ご勘弁を!!!」


 「・・・・・・・・・」


 お菊さんが説明しようとするから、滝川さんがオレを生類憐れみな顔で見てるじゃん!?勘弁してくれよ!?


 《国産米100%上撰2ℓ甘口》¥1500


効能・・・・国産コシヒカリの孫の孫の米を使った酒。侮る事なかれ。値段の割に口当たりが良く愛飲者が多いコストパフォーマンスが良い酒。悪酔いしない。



 「これなんか如何ですか?入れ物だけでも特別な感じがしませんか?紙パックなので頑張れば作れますよ?」


 「これまた見た事ないがこれは大吟醸より高価ではないのか?色が派手だから高価に思えるぞ?それに描かれてるのは鳳凰か?」


 某社の酒だが確かこの会社の紋章が鳳凰だったよな!?さすがにまずいか!?


 「他のにしますか!?」


 「いやこれでいこう。助かった。あと何本か頼む。・・・とりあえず20程頼む。多分お主のお陰で此度の戦は終いじゃ」


 「え!?もう終わりですか!?何もしてないですよ!?」


 「うん?お主は戦が嫌いなのだろう?なんだ?戦いたかったのか?」


 「がははは!さすが我が殿!とうとう本性が現れだしましたかな!?何もせず降伏するなぞ武士の名折れ!」


 「三左衛門!控えろ!」


 いや小川さん、いつの間に現れたんだよ!?お菊さん並みじゃねーか!?


 「いつから居たのですか!?」


 「そりゃ我が殿の戻りが遅く、この三左衛門、いついかなる時も殿の事をお忘れした事などなく──」


 いや熱い・・・。熱過ぎる・・・。甘味と酒と大砲の前ではオレの事秒で忘れてる癖に・・・。


 「こう見えて若い頃は三左衛門は、敵の内部に忍び込むのが上手くてな?のう?三左衛門?歳を食っても腕は落ちておらぬようだな?此度は許す。だが次は無いと思え」


 「一益坊も言うようになったのう?そんな事じゃいつ寝首掻かれるか分からんぞ?」


 「ふん!抜かせ!」


 いやマジでこの爺さん何者!?実は後世で有名な人だったのか!?


 その後はさすがにオレが同席する訳にはいかず、『部隊で待機』と言われ進捗があればトランシーバーで教える、との事で剛力君が作った陣に戻った。


 「あーあ。なんかつまらねーな」


 「確かに拍子抜けって感じだな」


 「折角らいふりんぐ加工したこの銃の斉射を出来ると思ったのですがな」


 結局皆これかよ!?平和が一番じゃないの!?なんでオレが一番平和主義で、部下はバトルジャンキーばっかなの!?


 すると急にトランシーバーから、滝川さんの怒りの声が聞こえた。



 「剣城!すぐに、出陣用意!員弁郡、朝明郡、三重郡が我らに恭順するようになったが、中伊勢の関家が反対をしおった」


 「分かりました。また私は後列でよろしいですか?」


 「いや、どうせならお主の戦い方が見てみたい。我の兵は約4000。1000をお主に渡す。好きなように使え」


 え!?いきなり1000人使えと!?いやいや。会社ですら部下は3人しか居なかったのに、今のこの甲賀の人達ですら統制できず、バトルジャンキーしか居ないのにどうしろと!?


 「不服か?」


 「がははは!一益坊!聞こえるか!?ワシじゃ!我が殿は1000じゃ足りぬと申しておるぞ?」


 いやいつトランシーバー奪い取ったんだよ!?小川さんマジで60歳か!?そんな動きじゃねーだろ!?しかも全然不服なんかじゃありません!むしろ多過ぎなんですが!


 「ふん。三左衛門か。1000で我慢しろ!明智殿も剣城の妙技を楽しみにしていると言っていたぞ。それとそう身構えるな。関何某の使者は勝つまでなくとも一矢報いて、と言っておるくらいだから逃げ腰だ。恐らく一当てで終わる。敢えて言おう。ワシも剣城の軍・・・甲賀の者の晴れ舞台、楽しみにしている」


 「・・・・分かりました。やれるだけやりましょう」


 「面白い展開になってきたねー!奏!ちゃんと怪我した人治すよ!剣城様?怪我人が出るまでは私達も戦っていいんですよね!?」


 いや鈴ちゃんが一番ノリノリなんだが!?

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