芳兵衛無双

 「こんにちわ!いや助かりました!農業神様!クロムモリブデン鋼とかホーニング機とか分かりますか!?」


 「我が兄弟は一気に発展させるんだなぁ。あるんだなぁ。でもこれは制約があるんだなぁ」


 農業神様が言った制約とは、俺が今戦国の世に居る世界線の管理は、農業神様の眷族がしてるらしいのだが、色々な世界線に変わっているらしく、管理が大変らしい。なので、この村でしか使えない持ち出せない一定の人にしか機械が反応しない、と制約を付けても良いなら用意してもいい。と言ってくれた。


 「そんな事くらいなら大丈夫です!お願いします!」


 「分かったんだなぁ。ホイホイホイノハッ!」


 「ありがとうございます!またボックスに入れてくれたのですか?」


 「そうなんだなぁ。では色々作って楽しんで欲しいんだなぁ。ちなみに金額は全部で700万貰ったんだなぁ。さよならなんだなぁ」


 いや取り過ぎじゃね!?確かに値段聞いてなかったけど今までと違って高過ぎじゃね!?芳兵衛君!何がなんでも成果を出せよ!?出さなかったら許さんぞ!?


 〜止まっていた時間が動き出す〜


 「とりあえず用意したから全部出していくから」


 


 いや俺が用意したもんだが何の機械だ!?旋盤くらいならまだ分かるけどよ!?


 「剣城殿!ありがとうございます!これで銃の量産化も楽になります!それにクロムモリブデン鋼を使い、このガンドリルで作った銃は日の本最強になります!」


 めっちゃ興奮してしてるんだが!?


 「それにこれが完成すれば剣城殿が言ってた、遠くの敵を相手から見えない位置から狙撃して離脱する戦法が使えます!撃針を作りスプリングの圧力を受けて動く撃鉄に叩かれて、そのエネルギーを雷管に伝える役割……………」



 「そろそろいいかな?芳兵衛さん?はっきり言ってオレは分からないから任せてもいいかな?ただくれぐれも、それを他の人に無闇矢鱈に見せない事!」


 オレは農業神様に言われた、無闇矢鱈に色々な人に作業をさせない事と、5人程は大丈夫とも言われたのでそれを伝えた。

 まあ、あの機械の方は持ち運ぶ事は出来ないだろうけど、場所は変えられない事も伝えた。


 「誰がこんな面白い作業を他の人にやらすもんですか!?ここは某に任せて頂きたい!!」


 なんか芳兵衛君の仕事魂に響いてしまったらしい。


 《近代工業までの本各種》¥20000


 効能・・・・近代工業までの道標(みちしるべ)はこの本に全てが集約されている。習熟度up。



 「この本も託すから色々見てみてくれるかな?オレは、そこまで分からないけどフライス加工?とかもしかしたらエンジンも分かるかもしれないよ!?」


 「えんじんとは何でしょうか!?」


 「いや、今のは聞かなかった事にしてくれる?とりあえず今は一つずつ作っていこう!」


 オレは自分で出したが全く分からないので、芳兵衛君に全部丸投げした。700万も使ったんだからマジで頼むぞ!?

 それにしても、さっき現れた農業神様は少し元気無かったよな・・・。何かあったのか?


 


 それからしばらくの間は農業と訓練を俺もしてたが、先日言ったお店開きたい人が居なかったので、仕方なくお試しで俺が店を作って飯屋さんなんかを営業したり、千吉さんの奥さんを筆頭に女性だけの工場を作ったりした。

 綿繰り作業なんかは金剛君が例の本を見て、何となく分かると言うんで監督してもらい、綿の中に入っている小さなゴミなどは、弓矢の弦に引っ掛け弾き飛ばすという事をすると、綿もほぐれて一石二鳥だと喜んでいた。

 糸紡ぎは最初女性の人達も上手くいってなく、いくらかボロボロになったやつもあったが、そこは優しく怒らずに続けてもらうようにした。

 機織り機は国友さんの弟子の人達に作ってもらい、この作業に関しては琴ちゃん達救護班も混ざり作業した。聞くと怪我とかした時に使えると言っていた。そして、第一回の綿花栽培で出来たタオル・・・。たったの30枚・・・。色付けも何もされてない現代のタオルとは程遠いタオルだが・・・。


 「皆さん!!やりましたね!!!自分達の手だけで作れましたよ!!!」


 「色々作業があったけど出来ましたね!剣城様!ありがとうございます!!」


 不恰好なタオルだしオレが作った訳じゃないけど、これは素直に嬉しい。ただあんなに育てたのにこれだけしか作れないの!?もっと育てる場所考えて増やさないといけないな。


 タオルが出来て喜んでいた時に、どこからともなく聞いた事がある懐かしい声が聞こえた。


 「てーへんだ!てーへんだ!大殿様が犬山城、鵜沼城、猿啄城を落とした!てーへんだ!てーへんだ!………」


 「あれ?勘助さん帰ってきたのか!?」


 「おう!剣城!久しぶりだな!良い事教えてやろうか!?なんと大殿様が城3つ落としたんだ!!」


 いや、貴方が叫びながら来たから知ってますよ。なに勝ち誇った顔してるんだ!?それにしても早いな。もう3つも城落としたのか!?信長さんやるな!?


 「勘助さんはもう村を回る仕事が終わったのですか?」


 「いや。今、剣城が育てている綿花と言ったか?あれを育ててる村から苦情が来てな?どうも水が減ってるらしいんだ」


 「あっ、確かに通常で育てるなら水が沢山いるって書いてたよな。分かりました!その件は何とかします!大膳君!!!」


 「はっ」


 「この村一の情報通の勘助さんだ。勘助さんの情報に負けないように!それと前見せた本の治水工事とまではいかないけど、勉強してる?」


 「はっ。付近の綿花栽培している所で若干、水位が減ってるとかですか?」


 「なんだ、知ってるじゃん!なら何とかなりそう?廃村になった方面の水路を使ってる側に戻すとか出来そう?」


 「出来るには出来ますが人数としばらく日数が掛かります」


 大膳君は変な踊りをしたりサボってたり見えるけど、やる事はやっていた。工事作業を絵付きでオレにも分かるように説明してくれた。


 「この様に最高水位の流量をある程度決めて、普段から上流にダムを作っておけば水不足に悩まされず、そのダムを起点に………」


 「大膳君!私は君をやはり侮っていた!だが私は大膳君はやる時はやる男だと信じていたよ!」


 いや大膳君も流石だな!あの変な踊りしなかったら優秀なんだけどな。だけどまだダム建設は時期尚早だ。あれは大掛かり過ぎる。簡易的なため池をまずは作ろう。大掛かりな作業はちゃんと信長さんに聞いてから、もっと人を用意してからにしよう。


 

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