マグロの可能性
「剣城、すまんがちょっと来てくれるか?」
八兵衛村長に呼ばれて行ってみると村の人が揃っていた。
「さっき、あの僧侶の方に言われて気付いたんだが俺達は剣城にこの村を劇的に変える事をしてもらってるのに何て言うかな・・・。剣城を軽く見過ぎていた。すまん。もし良ければなんだが、これからもこの村を発展させていってくれないだろうか?」
「「「剣城様、申し訳ありません!!」」」
「いえ、全然大丈夫ですよ。八兵衛村長は信頼してますし、私は尾張をこの村からどんどん発展させていく予定ですので、皆さんもこれから頑張りましょう!
そしてある程度一区切りしたらバーベキューでもしましょう!」
それから各々一人一人オレのところに謝りに来て、ちょっとさすがにと辟易とした。そこまで気にしなくても良かったんだけどな。
正直この村では肥料チートのお陰でオレはあまりする事が無くなり、それに国友さんも息子さんを連れて来るということで、村の人達と溝が出来ない様に少し話をして城に戻ってきた。ちょうど昼餉の時間だったので信長さんに呼ばれた。
「沢彦からも聞いたが最近励んでおるようだな。なんでも国友にビードロと画期的な鉄の鍛錬を教えたそうじゃな。それと沢彦が村の奴と国友と貴様とで認識が違うという事で、一悶着あったそうだな?」
「いや、多少意見は言いましたがあれくらい…」
「黙れ!貴様はぬるい!ぬる過ぎる!ワシは沢彦にこの事を聞いて根斬りにしてやろうとしておったら、沢彦の奴がそれを止めたんでな。平手の爺みたいになっても困るからのう。癪だが今回の話はここで止めておく事にした」
「なんか気を遣って貰ってすいません。以後、自分も舐められない様に気を付けます」
「うむ。その様に致せ。それでお主より身分が高い者にあからさまに侮辱する様な事を言われたらワシに言え。貴様と同じ事を其奴が出来るかワシが問おう。どうも織田家でも貴様を軽く見ておる者が多い」
「はぁ〜。分かりました。その件に関してはそのように致します」
「それで、今後の展望なんだが貴様が開発する鉄で刀、鉄砲をワシは量産していこうと思う」
「はい。その様にするのが良いかと思います。これから先、鉄砲が主流に・・・・」
「黙れっ!!!貴様は未来の事を言うなと申した筈じゃ。口に気を付けよ」
「すす、すいません!!うっかりしてました」
オレが悪いにしても怖過ぎ!!いきなり怒鳴るなよ!
「それとあの一益を手懐けたようじゃな。一益が言ってきおったぞ?貴様の家の下男、下女は甲賀衆で揃えて良いかと」
「あっ、滝川さんと話す機会があって甲賀の里の人達の事を聞いたらほっとけなくて、少しでも皆がいい生活になるようにと私がお願いしました」
「ふん。一益は別じゃがワシもあまり身分は問わんが乱波は好かん。領内で無法を成す事は無いように手懐けておけ。それと慶次を所望したようじゃな?」
「はい。慶次さんとも話す機会があってなんとも馬が合うと言いますか。気が合って家に来てくれたら良いなと思っただけです。もし難しいなら慶次さんは諦めます」
「ふん。別にワシは構わんがタダで貴様の願いを聞く事は癪に障る」
えっ!?オレはお願いしただけで信長さんは少しムカつくんですか!?酷くねーですか!?
「そうだな。貴様には焼いた甘い握り、かれー、親子丼、他にも名前を忘れた物を食わせてもらったな?だがサルに美味い魚を食わせたそうじゃな?ワシは食ってない」
おい!魚が食いたかったのか!?普通に言えば出すのに!!
《マグロ刺身1パック》
《ツナ缶4缶パック》
効能・・・・太平洋にて数々の修羅場を潜り抜けて来た個体を加工したツナ缶。目が良くなる。
《マグロの竜田揚げ》
効能・・・・養殖生簀の周りを回遊している野良マグロを使った竜田揚げ。目が良くなる。
だから太平洋ってどんな魔境だよ!?数々の修羅場って何だよ!?それに竜田揚げのマグロは野良かよ!ちゃんと自分で餌を見つけろよ!?値段は¥4000程で安かったけどよ!
「これが木下さんが食べたマグロという名前の魚の刺身です。後は同じ魚を加工したり調理した魚です」
「ほう。身が赤い魚は初めて見たぞ。どれ、刺身からまずは・・・・」
「誰ぞある!今すぐこしひかりを炊いて持って参れ!今すぐじゃ!!!」
はい。出たよ我が儘。
それからオレはツナ缶と水魚の交わりの如く相性が良いマヨネーズを出そうか迷った。
いや普通なら間違いなく出すんだがこれは危険過ぎる気もする。オレは現代に居た頃にマヨネーズが嫌いな奴を見た事がない。
信長さんもハマってしまうかも・・・・。
「貴様、今何か考えておるな?」
えっ!?何故に分かるの!?
《マヨネーズ》¥400
効能・・・・サラダ、揚げ物、米、人間種が開発した至高の調味料。いや調味料をも超越している。咀嚼中に感じた事ない幸福感を感じる。
いやゴッドファーザーもマヨネーズ好き過ぎだろ!それに効能の部分が明らかに他の商品より如何に美味しそうか伝えてくれるじゃん!!!
「このツナ缶にマヨネーズを混ぜてご飯の上に乗せて食べるとことのほか美味いです。これを握りにしたら日持ちこそしませんが、戦の飯時に相手にあまり匂いも煙も出さずに美味しい握りが出来ます」
「遠藤ぉぉぉぉぉ───────!!!!こしひかりはまだかぁぁぁ────!?」
「はっ!申し訳ありません。直ちにお持ち致します!!」
遠藤さん、可哀相だな。まっ、小姓の宿命だ。頑張ってくれたまえ!信長さんも少しくらい待てばいいんだよ!
「お待たせしました!急いで用意致しました」
「遅い!罰としてこの清洲の城を一周一人で走ってこい!」
「いっ、今からでしょうか!?」
「うん?もう10周増やすか?」
「はっ!直ちに走って参ります!」
おい!米が遅いのはしょうがないじゃん!遠藤さん何も関係ないし、むしろ伊右衛門さん達は何も無いの!?ブラックだ。織田家、ブラック過ぎるぞ!?
「貴様、よくぞこのまよなんとかを出してくれた!これは美味い!美味過ぎるぞ!かれー並みに美味いではないか!
それにこの油で揚げたやつもかなりの上物!帝の食事より、いや・・・この日の本で1番の食事をしておると自信を持って言える」
「喜んでもらえてなによりです。ただ食べた後言うのは後味悪いですがこの魚、別名なんて言うか知ってますか?」
「ん?なんぞ言うてみろ」
「マグロ、この時代ではシビと言う魚です」
「なんと!?これがシビなのか!?全然外道ではないではないか!即刻津島に使いを出し捨てぬように・・・」
「すいません、この魚は腐るのも味が変わるのも早いのでこれと同じように食べるにはそれなりに処理しないといけません。ツナにするならまだ何とかなりそうですが刺身は腹を壊す可能性が高いです」
「そうか・・・・・。ではつなかんとやらで我慢するか」
えっ!?マジで残念そうなんだけど!?
「未来ではこの魚が非常に高価なので私はこの魚を元手に私の技を使い商売でもして尾張を発展させて行こうと考えてます」
「貴様を商売だけで終わらすと思うておるのか?うん?商売をしたい?結構。尾張が富むならいくらでも商いをすれば良い。それに関しての準備にかかる銭、褒美も渡そう。だが!戦の時にワシの飯は誰が作る?え?誰が作るんだ?」
飯なんか誰でも作れば良いだろ!?何でオレに拘るんだよ!?めっちゃ怖いんだけど!?
「申し訳ありません。浅はかな考えでした。信長様のご飯と商い、頑張らさせて頂きます」
「分かれば良い。それと例の装備の準備はどうだ?」
「滝川さんが松茸を狩ってくれて資金もありますのですぐ準備できると思います。ただ装備を買えば少し資金が目減りしますので高価な装備を大人数は暫くは用意できないかもしれません」
「構わん。義父の城を落とせば城の宝を貴様には褒美として渡す。堀に伝えて武器庫に装備を出しておけ。予定より早く動くやもしれん。
ワシの一族で怪しい動きをしておる奴がおる。この事は他言無用ぞ。それと、お濃と市が何やら貴様に話があるそうじゃ。機嫌がすこぶる悪い。心しておけ」
機嫌悪いってオレ何かしたか!?お市さんならそりゃムフフな事を想像はしてるが、何も現実ではしてないぞ!?
堀さんと武器庫に着きこの前出した装備100人分¥8000000を使い、購入ボタンを押すのに清水の舞台から飛び降りるかの勢いで、少し冷や汗を掻きながら購入した。
確か木下さんが一夜城築いたとかだったよな?他にも何か装備あった方がいいよな!?これは後で考えよう。
そう思いつつ濃姫さんの部屋に向かう。
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