芝田隊 甲賀衆発足!
小見さんの側女さんに伝えて部屋に案内される。
「芝田殿。お帰りなさいませ」
「ただいまです。今回は少し疲れました」
この小見の方・・・。通称美濃の母と言われているが、オレもその言葉の意味の様に、この人の優しさを享受している。
実の母とは程遠いけど、実家の様な安心感がある人だからだ。
「なんでも岡崎の方面を抑えたとか聞きましたが?」
「そうです。農民達・・・。一揆でした。中規模らしいですがあんなのは二度と御免です」
「では、芝田殿が頑張って下々の民の生活の質を上げ、婿殿に纏めてもらうのが手っ取り早いですね」
本質を分かってるのか!?
「妾も最近沢彦和尚に習っておるのですよ?」
「そうなんですね!欲しい書物とかあれば言って下さい!小見様には窮屈な生活させたくありませんので」
「本来は尼僧になるものですが妾はなりとうない。ここで皆々様の活躍をお祈りするのが、妾の役目でございますれば」
体が治り心も落ち着いてきたのかな?本来の格がある女性な感じだな。でも嫌いじゃない。
「これからこの岐阜の街も発展していきますよ!落ち着けば城下に行きご飯でも食べましょう!」
「ほほは。楽しみにしておりますね。時に、芝田殿・・・いえ、剣城殿?」
「はい。何でしょう?」
「夫婦になられるとか?」
夫婦!?ゆきさんか!?何で知ってるんだ!?
「いっ、いえ!まだその時では・・・」
「ほほほ。ここ美濃改め岐阜にて、妾の与り知らぬ事はないと思いなさい?それと、その女子(おなご)には優しくしなさい。婚期が過ぎると尻に敷かれますよ」
情報通か!?小見さんに情報部の頭領にでもなってもらうか!?
「はっ、はい!今抱えてる仕事をこなし、落ち着けばと思うております」
「それは本当かえ?なら、祝言の時は婿殿に言い盛大に致しましょうかえ?親族衆には妾が出ましょう」
いやこれは逃げられなくなったぞ!?いや逃げるつもりはないけど。
「そ、その時はよろしくお願い致します」
《バニラアイス》¥150
「さっき信長様にお渡しした物です。甘くて冷たくて美味しいですよ」
「ありがとうございますね。剣城殿のより一層の活躍を」
この人の前では素で居られるな。長生きしてほしいわ。次はお市さんだな。
同じ様に側仕えに案内された。その側仕えさんに声を掛けられた。
「剣城様。おめでとうございます」
「え!?あ、ありがとうございます。って、何がですか?」
「戦にお勝ちになられたとか?」
「え!?あぁ、まぁ勝ったと言うか何と言うか・・・」
「たまにお市様とご一緒させていただき、剣城様の技を堪能させていただきました。この場でお礼申し上げます」
「いやいや、別にそのくらい大丈夫ですよ」
「この度、私(わたくし)も近江に参る事になりました。そうそう会う事はないとは思いますが、近江より剣城様のご活躍お祈り申し上げます」
初めて取り継ぎ以外の事話したけど寂しい感じがするな。
「信長様が頑張り私が街を発展させて、互いの国に行き来しやすい環境を作ります!その時はまた会えますよ。私の技を使わなくても、色々な物食べれるように頑張りますね」
「楽しみにしておりますね。こちらへ」
浅井と信長さんは仲違いするんだよな。姉川だったかな。食い止めるぞ。朝倉をどうにかしないといけないな。
高校生の時、歴史の授業では朝倉は弱いとかイメージを持ってる奴が多かった、と思うけどオレはこの時代では、文化人な人だと思うんだけどな。
やっぱ、未来で習うのは強いか弱いか何をした人かだもんな。
「お入り下さい」
「お市様。お久しぶりでございます」
「芝田殿、お帰りなさいませ」
いやなんだ!?少し前まで、カエル!とか呼んでた人が随分しおらしくなったな!?
「ど、どうしたのですか!?」
「いや、妾も嫁ぐから兄上に礼儀を学べと言われてな?だが、剣城を見れば馬鹿らしく思える!」
いや礼儀正しかったのは最初だけすか!?オレを見れば礼儀が馬鹿らしく思えるって酷くないすか!?
「違う!違うんじゃぞ!?剣城には何でも話せる様な気がするだけじゃ!」
あぁ〜。お市さん・・・。美しい・・・。やはりオレはお市さん推しか!?
「き、気色悪い顔するでないッ!!」
「す、すいません!そんなつもりはありません!ただ最近お市様が元気が無いと聞きまして元気付けようと・・・。でしゃばりました。すいません」
「ふん。あれは演技じゃ。兄上は自分の事ばかりで妾の事は何も知らんふりじゃからな!」
女は魔性だ・・・。まんまとオレも騙された件。
「とにかく、元気そうで良かったです。婚礼の着物など日の本一のものを用意する予定です。と言っても、近江と岐阜は近くなので何か欲しい物あれば言って下さい」
「とらんしーばーを預けてくれるのか!?」
「いやそれは、さすがに許しはもらえないと思うので従来の伝令でだと思いますが、私が聞けばすぐに用意します。後、これバニラアイスです。信長様からでございます」
「冷たい!?これ冷たいぞ!?」
「ははは。そういう食べ物ですよ!夏場には浅井領でお許しがもらえましたらお持ちしますよ」
「ほんに剣城は・・・。頂こう。木匙で食べるのか?」
「そうです。ゆっくり食べると溶けてしまうので今お食べ下さい。側仕えさんもどうぞ」
「わ、私もよろしいのですか!?」
「うっ、美味い!甘い!最高じゃ!これ!吉乃!お主は食ろうてはならぬッ!これは妾のじゃ!!」
はい。出たよ!我が儘。いつものお市さんだな。けど、目は寂しいままの様な気もする・・・。
「もう一つお出ししますのでどうぞ仲良く。では失礼します」
さっ!今日は村に帰ってオレの家で天麩羅でも食べよう!!海老天だよ!海老天!夢にまで出るくらいだからな!
どうせなら竹中さん達の歓迎会も一緒にするか!?一応戦勝記念でもいいよな!
"ノア?お待たせ!さっ、帰ろう!"
ガジガジガジガジガジガジガジガジ。
"痛いっ!痛いって!"
"キャハッ♪剣城っち♪甘えたいって言ったからよしよししてあげたよ♪"
いやオレがいつ甘えたいって言ったよ!?言ってないぞ!?
オレはノアに全速力で村に帰るように言い村に向かう。時間で言っても15分くらいだろうか?ノアの本気は本当に凄いや。
村に着くと人手がかなり多いように思うし、こんなに木下さんの配下を入れてたのかな?あれ!?見た事ある人が居るぞ!?
「芝田様!」「芝田殿!」「あれが新しい殿様か!?」
「若いのう」「立派な馬に乗っておる!」
「こんにちわ。皆様は……あっ!?貴方は!?」
「お久しぶりでございます!この度は甲賀の某を慕ってくれておる者達を連れて参りました。遅ればせながら・・・甲賀頭領。望月信雅以下、300名。芝田様の末席に加えていただきたく。主に戦働き、諜報活動、破壊工作などを・・」
「ありがとうございます!まさか本当に来ていただけるとは、思ってもおりませんでした!甲賀は大丈夫なのでしょうか!?そんなに大量の人がこちらに来れば・・・」
望月さんが教えてくれた。山中何某とは決別してきたと。でも、喧嘩別れぽくはあるが六角にも暇の許しは貰えたと。二度と甲賀には戻らない事も。
そしてゆきさんのお父さん、伴長数さんも居た。他にもかなりの人が後から来るらしい。ていうか既にこちらに向かって来ていると。
この望月さんはなんと、武田晴信・・・。武田信玄と少し関わりがあるみたいだった。前まで争っていたと。真田幸隆さんって方の仲介で降伏したらしい。
その時かなりの一族の方が亡くなったらしい。建前上は武田に従い、なんなら偏諱まで貰って今の名前だと。
「こんな所で武田ですか・・・」
「な、何かまずかったでしょうか?」
「いやいや、そんな事ないです!気になっただけですよ!」
「ですが、某はもう武田と関わりはありませぬので。武田信繁様から養子をいただきましたが、去年流行り病にて急逝しまして。その実の弟に家督を譲り、出家した次第でございます」
「だから六角もそこまで咎めず、山中何某も納得した感じだったのですね?」
「まあ、簡単に言えばそうでございます。ただ、こんなに某を慕って着いて来るとは思わず・・・。芝田様に迷惑はお掛け致しませぬ」
信長さんはこの事も見据えて、お金を渡してくれたのだろうか。
「お菊さん、これ皆に必要な分を渡してあげて」
「え!?この銭は!?」
「ちょっと信長様からね?使い方などの指定はされてないから。ただ、輿入れ時のお金と船のお金なんかも同じだから、考えてほしい。普段の飲み食いは提供するし、家もあるから強いて言うなら、歯磨きセットと服装代くらいかな?」
いや待てよ。服も芸術神様にお願いしてみようか!?大量注文だから安くなるかも聞いてみよう!
「剣城様?例の球体と祠はあんな感じでよろしかったでしょうか?」
「おっ!ゆきさん!流石!仕事早いね!オーケー!」
「まずここの決まり!基本的に自由にしていいし、ある物は食べても飲んでもいいし、欲しい物は私に言って下さい!ですが必ず!あの祠とこの祠は今から祀るけどお祈りするように!」
「「「「はっ!!!」」」
「お菊さん?服装は少し待ってくれる?夜までに報告はするから。それと今日は竹中さんって新しく仕えてくれる人の歓迎会をします!あそこの一際大きい家に集合お願い致します!」
「ほほほ!私達の歓迎会ですと!?」
いや竹中さんどこから現れた!?さっきまで居なかっただろ!?
「ほう。貴方が名軍師と名高い竹中半兵衛殿ですか?軍師とは似合わぬ装いですな?クックックッ」
いや望月さんも黒い内なる自分が居るのか!?
「望月さん達の歓迎会は全員揃ってからします!まずは初めての人達とも仲良く交流しましょう!」
「「「「オ────ッッ!!!」」」
〜天界仮眠室〜
あぁ〜。あのホットケーキなる物は美味かったなぁ!おいも姿があれば人間の前に出やすいのだがなぁ。
ピコンッ!!
【神格が上がりました】
「うん!?!?あれはパパの天の声!?おいの神格が上がったのか!?何故だ!?」
「あぁぁぁぁ・・・・。姿が・・・変わる・・・」
「せっ、戦神様。どちらに行かれるのでしょうか!?」
「うん?いやなにだ!あの農業神の眷族がくれた供物(くもつ)が殊の外(ことのほか)美味くてな?地球産の物と知らなくて一気に食べてしまってのう」
「そ、それはまた奪いに行くと言うのですか!?農業神様とは盟友では!?」
「馬鹿が!誰が奪うのだ!人聞きが悪い!ワシと農業神は盟友じゃぞ!あれは奴の眷族と物々交換だ!おい!お前!つべこべ言わず倉庫に入っておる使わん槍やら剣などを見繕え!ワシは盟友の眷族の元へ向かう!」
「おう!ここか?来てやったぞ!?うん?なんじゃ?お前は姿を持っておらんかったように思ったが?」
「せっ、戦神様!!このような場所に・・・。ここはGarden of Eden従業員の仮眠室です!」
「知っておるよ?お前のマナを辿り来ただけじゃ!」
知ってるなら入ってくるなよ・・・。
「神格が上がったのだな。良いマナだ。此度は先の供物が美味くてな?出してくれぬか?ワシは魔法神とは違い駆け引きは好かん。これでどうじゃ?」
いや、おいがホットケーキなる物は食べてしまったのに・・・もう無いですぞ・・・。それにまた剣とか槍とか・・・。
あの農業神様が執心の人間にお願いするしか・・・あれ!?ヘルプボタン!?しかもタイミング良くあの人間から!?これはどうにかなるかもしれん!!!
「戦神様!少しお待ち下さい!」
「おう!あの食い物なら1000年まで待つぞ!がははは!」
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