計画書
次の日。早速慶次さん、竹中さん達は近江方面に向かって行った。1泊2日を予定していると。
「ゲルテントとか借りて行くぞ?それとイルミネーションを道沿いに置けばいいんだな?」
「必要な物は何でも持って行っていいですよ!イルミネーションの事はそうです!お願いします!」
「そうですね・・・。イルミネーションとやらの配置は前田殿に任すとして、3日程ですが私の配下で警備させておきましょう。付近の者に悪戯されるかもしれませんからね」
「竹中さん!ありがとうございます!じゃあ、よろしくお願いします!」
"ノア?オレは岐阜城に向かうから青木さんの言う事をよく聞いて、馬車が引けるか確認するんだぞ!?"
"キャハッ♪大丈夫大丈夫!まっかせなさいっ!!"
「じゃあ、青木さん!ノアを頼みます!」
「ノア嬢なら大丈夫でしょう!タイヤに本来はゴムなんかがあれば良かったですが、これはまた追々ですな?サスペンションなどは間に合わなかったですが、お市様もこれはお喜びになっていただければ、良いのですが・・・」
青木さんの頭の中もどうなってるのだろうか・・・。本を読んだ人は漏れなく、この時代に似合わない言葉を理解しているな。
まあ、デザインはオレは・・・。だが、お市さんなら喜びそうな気はするな。
「よし!金剛君!お菊さん!ゆきさん!岐阜に向かうよ!」
「「「はっ!」」」
大黒剣に乗り岐阜城に着いたオレ達は、城門に居る人達も顔見知りになってる為、そのまま通される。
「ゆきさん?その二人に飴玉を」
「はっ。城門方!ご苦労様でございます。飴玉にございます。噛み砕かず舐めて食べる事をオススメします」
「配慮、痛み入る。甘い!今回はサイダー味ですか?」
「はは!流石です!前回はオレンジでしたからね。また次をお楽しみに!」
こうやって、普段関わりの無い人とも仲良くしておくのが大事だよな。名前も知らない人達だけど清洲に居た頃より、幾分表情が柔らかくなってる様な気がするな。
その後、遠藤さんにいつもの挨拶をして、信長さんに許しを貰い、お菊さん達も城に入る許可を貰い、オレと金剛君は信長さん。お菊さん、ゆきさんは小見さんの部屋に案内される。
「ゆきさん?もうほぼほぼ決定してる事ばかりだから、抜かり無く小見さんによろしくね!」
「はい。お市様のお色直しの事、着物もドレスも持ってきておりますので、お任せ下さい」
大膳より頼もしいな。流石だ!
「入れ」
「お久しぶりです。あっ、これは私の配下の大野さんって方がこの度、飯屋を経営する事になりまして。是非、信長様にお持ちしてくれとの事でございます」
「ほう。名を覚えておこう。それは何と申す?お?ぷりん・・・・ではなかったか?」
確か昔に一回出した事あったな。覚えてたのかな?
「流石でございます。プリンでございます」
「すまん。うん!美味いではないか!貴様が以前出した物より些か形が悪いが、これもまた一興。味は申し分ない!褒めて遣わす!今度その者を城に連れて参れ。それと今後、貴様の配下は貴様が居る時に限り、城に出入りを許す」
「はっ!ありがとうございます!それで本題ですが・・・」
オレは大黒剣で引くのをやめ、オレの馬で引く事を言った。それで信長さんも良ければ小雲雀号で一緒に引くのはどうかと提案した。
「ふん。ワシに御者をせいと申すのだな?面白い。その役、してやろう。ついでに浅井の顔も見てやろうか」
いやいや、当初はケーキ食いたかっただけだろ!?てか、結局のところはそこかよ!?
「はっ。もう少しで使者さんが来るのですよね?」
「おう。使者を1日持てなしてからの出発じゃ。ほれ!」
「何ですか?これは?」
「市の手紙じゃ。別れる前に渡せ。浅井側はどうもこの婚姻に乗り気ではないみたいでな。だが不破が見事な言で説き伏せてな」
「そうなのですね。詳しくは知りませんでした」
「その浅井新九郎は中々やる男だ。野良田で六角を破っておる。まだ元服を済ませた後くらいの男でだ!一度、相対してみたいものだな。それと貴様知っておるか?京の事だ」
あぁ。まだこの時は新九郎って名前なんだな。たしか信長さんの名前の文字を与えて、長政になったっけな。
「京の事ですか?将軍に会いに行くんですよね?」
「その話は無しじゃ。貴様の言う通り三好、松永に暗殺されたと聞いた」
え!?マジで暗殺されたの!?ってか、暗殺されるのって本当はもう少し後だったよな!?それに信長さんって確か少数で一度上洛して、謁見して刀貰ったんじゃなかったっけ!?その話が無くなったのか・・・。色々出来事が早くなってるんだな。
「私が知ってるより随分と、出来事が早くなっています」
「ふん。どうなろうがワシは変わらん!上洛で北近江の道を欲したがこれはこれで良い。貴様は清洲だけじゃなく岐阜の内政も発展させろ」
「分かりました。それと銭の方です」
オレは試作の銭を信長さんに見せて円にしたいと言った。何故円にするのか?とか何故丸い形なのか?とか聞かれたが、オレはこういう物です!としか言えなかった。
「正直、円と言うのは私が呼びやすいから、ってのがあります。中々に私はこの時代の呼び方に慣れないので・・・」
「う〜む。100円・・・。これが5枚でこの大きい方一枚の価値500円か。ワシも沢彦に今一度四則演算を習ったが、確かに覚えやすい!」
パタンっ、パタンっ、パタンっ、パタンっ。
「考え中にすいません。もう一つ、100円の下に50円10円を考えております。国友さんが早急に作ってくれています」
「よかろう!この銭で統一しよう!その10円50円というのも量産致せ!既存の銭と交換するという触れをする」
オレは、ただいきなり銭を交換すると言っても混乱が生じる為、交換に来た人達が織田を知るべく、森さんが造った澄み酒を渡す様に進言した。
「ほう。簡単な事ではあるが思い付かなんだ。では可成にも沙汰を出そう。それと帰りに城の横にある陣旗を見て帰れ。貴様の家じゃ。あの村に篭もりっきりは許さん!」
え!?あの村でオレはいいんだけど・・・。ジオラマ街もあるし・・・。けど、有無を言わさない感じって事は本気なんだな。この際、この岐阜に病院出そうか。人の往来も多くなってきてるしな。
「お菊さん?国友さんに言って、銭を急いで作るように言ってくれる?オーケーが出たって!小見さんの方は大丈夫そう?」
「了解致しました。小見様の方はゆきが計画書をお出しし、太鼓判を頂きました。着物、ドレスなんかも途中お市様もおいで下さいまして、ファッションショーみたいになりました」
「よし!了解!一応念の為にお菊さんは、当日は女性の護衛をよろしくね」
服の方も問題ないと!お市さんだから、ド派手なやつでも気に入ってくれたんだな!
「それで・・・ここがオレの家?かなりデカくないか!?しかも城の横って・・・」
「流石でございます!それ程までに大殿は剣城様を信頼されているのですよ!」
オレが家に見惚れていると、若い体格のいい人が近寄ってきた。
「この家を見るという事はあんたが芝田剣城か?」
「はい。私が芝田剣城です」
「そうか。そうか。ワシは岡部又右衛門。熱田の宮大工だ」
お!?この人も知ってるぞ!?確か本能寺で、一緒に信長さんと亡くなった人だったかな?宮大工出身なんだな。
「宮大工という素晴らしい経歴の方に、私の家なんか作ってもらいすいません。ありがとうございます」
「このような家を所望するからどんな奴かと思えば、腰が低い奴だな?だが嫌いじゃない!外観しか出来上がってないが、中は希望があるなら聞くぞ?」
オレはこちらに引っ越す事をさっき知ったばかりなのと、配下が増え色々会議なんかも多くなる事を見越して、多人数が集まる事ができる部屋と、寝る所は狭い方が落ち着く事、後は個室が少しあればいいと言った。
「なんだ?普通な感じだな?大殿は偉くあんたを褒めてたもんでどんな奴かと思えば、大殿より普通だな」
いや信長さんに褒められるのは嬉しいけど、あの人のセンスはあの人にしか分からないと思うよ!?
「剣城様?折角だから隠し部屋など、色々注文してみては如何ですか?」
「ゆきさんの方がワクワクしてるね」
「なんでぇ!?なんでぇ!?女子(おなご)の方が分かってるじゃねーか!?おい!どんなのがいいか言ってみな!?この岡部又右衛門、どんな家でも作っちまうぜ!?」
「なら、地下に部屋とか作れます?」
「む!?それは考えた事がなかった。上に建てる事しか頭になかったが、そうか地下か・・・。おい!急いで図面を変えるぞ!」
「さすが本職ですね!」
「当たり前だ!これでも元将軍家お抱えでもあったんだぞ!?」
「そうなんですか!?そんなお方が遥々──」
「よせ!よせ!あの方は剣の事ばかりで政の事なんざ二の次だった。おまけにワシにやれ御殿を建てろだ、やれ三好に対抗できる城を建てろだ、とか無理難題ばかり言い、出来上がっても銭の一つも寄越さない方だった」
「それは・・・災難でしたね」
「ふん。ここだけの話だが、どうもその将軍義輝様も三好に討たれたらしいな。ふん、清々する!」
「そんなに嫌われてた人なのですか?」
「いや、足利を再興すると考えれば中々の名将じゃないか?九州や奥州にも文を出し、偏諱や官位なんかを約束したとか?詳しくは分からねーが、それが返って三好から脅威に思われたんじゃないか?他の連中なんかも絡んでる気はするが」
いやこれは本格的に事象が早く起こってるな。このままどんどん早く進めば、オレのアドバンテージが無くなる・・・。史実に無い戦や争いになっても負けないくらいに、早く織田を強くしよう。
「岡部さん!私はとある任務が近々あるのですが、その任務が終わればオレの配下の工兵班・・・大工に携わってる配下の者を呼びますので、この岐阜一帯に多数の家を作ってもらえませんか!?」
「何じゃ!?何じゃ!?いきなりどうした?」
「私の配下や人の往来をもっと増やし、国力を強くする作戦です。どんな家とか間取りは私の配下に伝えますので──」
「剛力という者だったな?あいつは中々やるや奴だな!?このワシと同等の腕を持っておる!」
「ありがとうございます。本人に伝えておきます。よろしいでしょうか?」
「そうだな。ワシも本格的に織田に仕えるから、ワシの腕を大殿に見せる時だな!またその時に言ってくれ!」
「はい。よろしくお願いします!後、この横の方は何か建てます?」
「いや?そのつもりは無いが?」
「何を見ても騒がないで下さいね?」
オレはタブレットから残りのジオラマ・・・病院を出した。見た目は日本家屋だが、中身だけ現代の病院の装備が備わってるやつだ。
「キィヤァ─────!!家が飛び出してきおった!!」
「何じゃ!?何じゃ!?おい!お前!それでも岡部一門か!静まれ!!あんた?これは何だ!?」
「本当は誰にも言うなと言われてるのですが、岡部さんならいいと勝手にですが判断します。私は未来から来ました」
「合点。それで線が繋がったか。以前、この岐阜城に一室作った話は知っておろう?2階〜3階の間に部屋を作ったんだが、その時に剛力が訳の分からない言葉を使っていたが、未来の言葉だったか」
なんでも信長さんが自慢の茶室を作る時、設計書の話し合い時に細かい単位、mm、cm、mと単位を教えられたそうな。
平行定規やら三角スケールなども、岡部さんは初めて見たみたいだけどかなり使いやすく、芳兵衛君に作ってもらったみたいで、普通にこのオレの家でも使ってるみたいだ。
「これらも本来は未来の物だろう?」
「道具に関しての歴史は分かりませんが、剛力に渡した物は私が渡しました。水平器なんかもそうですね」
「一度ゆっくり語らいたいくらいだ」
「親方!!親方!!!この柱の組みはこれでいいのか!?」
「今向かう!まあ、今度語らおうや!家はしっかり作ってやる!さっき聞いた事も誰にも言わねーから安心しな!」
「分かりました。お願いします」
岡部又右衛門・・・。肝の大きい人だな。未来から来たと言っても冷静に話してたし。これから何か作ってもらう時は、あの人にも聞いてみようかな。
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