みんなベロンベロンに酔って・・・・
進軍を開始したオレ達は後方からの従軍になった。長島を迂回してと言われてどこが長島か分からなかったが、離れ小島の様な島があり、そこからオレ達の事を見てくる幽霊みたいな人達が居た。
「剣城様、あそこが長島です」
「うん。お菊さんありがとう。どこか分からなかったけど一目で分かったよ。あそこに居る人達、なんか目がおかしいように見えるけど・・・」
「長島は、願証寺や他にも力のある寺社、特に本願寺の門徒が多く──」
「本願寺ねぇ〜・・・」
「我が殿は本願寺を知ってるので!?」
いつのまにか小川さんはオレの横に引っ付いてくるようになってるんだが!?
「まあ未来でも有名ですよ。私は嫌いですけどね。何が嫌いかと言われても理由もあまり無いけど・・・」
「弱者の縋る所は寺社です。そこに色々な人が住み着き施しを受け門徒が増え、その数1万以上は居ると言われています」
いや周辺も合わせたらもっと多かったと記憶がある。だけど今はまだ戦ってなかった筈だ。それに手を出さなかったら攻めて来ない筈だ。いつかは戦うだろうが、その時までもっと強い武器の開発だな。
「大膳、到着致しました!」
「速いな?蟹江に太助さん連れてきたの?」
「はっ。イージスと共に参りました」
「ありがとう。お疲れ!オレ達はこの通り後ろの方だから出過ぎないように」
「はっ!」
1時間程ゆっくり進むと川?海?を渡る事になった。手漕ぎボートみたいなボロい船で。
「お菊さん!?マジであれに乗るの!?ここめっちゃ流れ早いよ!?」
「まじであれに乗るのです!前方は既に桑名に到着してる筈です!さっ、剣城様も!」
怖いんだけど!?あまり深そうではないけど、落ちたら甲冑着ては泳げないぞ!?
「なーに言ってやがる!?剣城は大将だから一番に乗れ!!」
慶次・・・・。今後ウィスキー出してやらねーぞ!?
なんとか怖い思いをしながら渡って、前方は休憩してるらしくオレ達も休憩を始めたら、トランシーバーから滝川さんの声が聞こえた。
『剣城、聞こえるか?』
「聞こえます。どうぞ」
『これより伊藤の東城、樋口の西城、矢部の三崎城に向かう。手筈通り勝恵殿が説得をして参る。お主達は一応動けるようにしておけ』
「了解致しました」
「お菊さんも慶次さんも小川さんも聞こえたと思うけど、そういう事だから他の人にも伝えてくれる?」
「かしこまりました。それとどうかワシの事は三左衛門とお呼び下さい」
名前呼びしたら仲良くなってしまうじゃん!?オレ、こんな武闘派の人とお近付きになりたくねーんだけど!?
「剣城様、イージスは一度村に持ち帰ります。何かあればすぐお待ちします」
「よろしく!」
大膳は本当に仕事だけは出来るな?大野さん達が川を渡る前にイージス集めてたけど、こういう事だったのか。
戦にはあまりならないと聞いていたから東城、西城、三崎城がどんな造りなのか楽しみにしてたけど、ガッカリだった。
「お菊さん?これが城!?」
「はい!この3つの城を桑名三城と呼ばれています」
土塁に小さな家があるだけじゃん!!オレの感想はこれだった。てか、石垣のある城って珍しいのか!?小牧山城は多少石垣があったけど、他はまだ盛り土の上に城ってのしか見た事ないよな!?清洲ですら石垣は一部分しか無かったし。
『聞こえるか?』
「はい!聞こえてますよ。今着きました」
『ご苦労な事だ。交渉は相成った。本日はここで一夜を明かし、明日はもう一つの伊藤が居る桑名城へ向かう。ここが上手くいけば周辺は皆従う』
てか早くない!?勝恵さんどんな交渉したんだよ!?着いて1時間も経ってなくね!?
「分かりました。おめでとうございます」
なんて声掛けたらいいか分からなかったから、とりあえずおめでとうと言った。
その日の夜、オレ達は剛力君達が建ててくれた組み立て式のプレハブで寝た。どういう仕組みか聞いたんだけど、
「要は折り曲げ式なのです。こことここの角に遊びを付けて、後はこのように組み立てるだけで、一つに人が10人は寝れるくらいに出来上がるのです」
聞いたオレがバカだった。多分これは現代では中々見ない物だろう。見た感じまんま現場にあるプレハブみたいな感じだし、基礎なんかも無い土の上に置いてあるだけだからな。
「剛力君、青木さん、野田さん、よくここまで作れました!帰ったら褒美を渡します!」
「はっ!ありがとうございまする。褒美は某は鮭とばだと嬉しいです!」
「おい、青木殿!褒美を指定するのはズルいぞ!?それなら俺は、じゃーじー牛乳のぷりんが欲しいです!」
まあこの工兵班が一番成長が凄いから、欲しい物出してあげよう。
「了解。また帰って落ち着いたら出してあげるよ」
滝川さんや、明智さん達はあの城?の中でゆっくりしてるんかな!?
「剣城様?この調子じゃ、折角の大砲も花火も使えそうにないですね?」
「そうですな。某の鉄砲の腕も披露できんのは些かつまらんですな」
「まあそう言っても平和が一番ですよ。そうですね・・・。折角だから大砲一発くらいぶっ放しますか!?」
「「「おぉぉぉ!!?」」」
「さすが我が殿!野田や青木が活躍して、この小泉家を最近軽んじておられたから、助かります!」
「オレも気になるしいいんじゃない?一応滝川さんにも聞こうと思う」
こちらからトランシーバーを使う時はいきなり話すのじゃなく、周りに誰か居るかもしれないから、通話ボタンを押してトントンと指を叩く事を合図にしている。
「トントン」
「ガヤガヤガヤ・・ヒック・・矢部殿、某ちょっと厠へヒック・・・・・・・・ヒック。剣城か?どうした?」
宴会みたいな感じだな!?羨ましいな!?さぞかしオレが出した大吟醸を堪能してるんだろ!?滝川さんもかなり酔ってるだろう!?オレが交渉に使えとは言ったけどよ!?
「お疲れ様です。私の配下が折角の用意した装備を一度だけ使いたいと言ってるので、そちらには迷惑かけないようにしますので、構いませんか?」
『ヒック!何だそのくらい!適当にすれば良かろう!?そんな事で、ヒック。呼び出すな!』
いや怒らんでもよくないか!?なら好きにさせてもらうわ!!!
「こんな美味い酒が飲めるとはな?ははは!滝川殿は羨ましいですな!?ははは」
「いや、この美味いだいぎんじょうと名の酒は最近でしてな?ささっ、もう一献!」
ドゴォォォォォォ─────ンッ!!!!
何の音だ?雷でも落ちたのか!?いや天気は悪くなかった筈だが・・・敵襲か!?にしては静かだな?夢か・・・。少し飲み過ぎたようだ。
奇しくも、城の皆も初めて飲む酒を浴びるように飲み、寝静まった後の事だった。
「朝から騒々しい!益氏!何の騒ぎだ!?北勢の他の家の敵襲か!?」
「いえ・・・それが・・・」
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