上陸作戦

 「陸は騒がしくなってきた!父御の兵が戦っておる!おいには分かる!剣城君!持って来た小舟を出してくれ!おいも負けてはおれん!」


 いやテレパシーかなんか使えるのか!?全く騒がしくないし、オレには分からないのだが!?


 上陸する事を仮定して小舟は積んで来たけど、もう上陸するのか!?浜に数人、敵の兵らしき人が居るけど大丈夫なのか!?


 「剣城様!?ここは某に任せて行って下さい!何としても船は死守致します」


 「小泉さん?そのフラグ立てるのやめません!?ここは俺に任せてとか先に行ってくれ!とかは死亡フラグビンビンですよ!?」


 「え?ふらぐ・・・ですか!?それは・・・」


 「まあ、とりあえず景気付けにやっちゃいますか。レールガンを城の横に放ちます。威力は最小にします。その後、オレ達は上陸するので杉谷さんと小泉さんは、船の留守をお願いします。くれぐれも倒し過ぎないように!」


 「「はっ!」」


 「おぉ〜!我が君!此度は好戦的ですな!レールガンを撃ちますか!」


 「まあ短期決戦にしたいですからね。1発で敵を沈黙させます。皆!!島津の兵隊さんも船の後に!!!」


 オレは操舵室からモニターを見ながら、目標に向ける。どんなシステムなのかは分からないが、ゲーム感覚のようだ。モニターに映った志布志城横の山に砲身を向ける。


 「今から発砲します。その後すぐに上陸、城に向けて前進します。3 2 1・・・発射!!」


 チュドォォォォ────ンッ!!!!


 その放たれた弾は一直線に、志布志城の横にある鍋山に向かっていった。そしてその放たれた弾が衝突直前に砕け散り、気付けば鍋山は数秒で禿山になってしまう。


 「ヤバっ!最小の威力でこれ!?こんなの人間に当たれば、跡形も残らないんじゃない!?」


 「よっしゃぁ〜!!剣城君が上方の超鉄砲にて道を切り開いた!島津の兵児共ッッ!!!行くぞッ!!!島津の戦を見せてやれッ!!!!」


 「「「「オォォォォ─────!!!」」」」


 船に居る義弘さんの馬廻りの人達・・・殊の外(ことのほか)、士気が高い。とりあえずオレも小舟に乗り上陸する。


 「我が君!ワシの後ろに!ワシが芝田の名を上げる戦を島津に見せましょうぞ!一蔵!遅れを取るな!」


 「なにを偉そうに!!剣城様!三左衛門なんかより某の後ろに!」


 ズドンッ!


 「危のうございました。肝付の兵と思う者があちらに」


 やっぱ頼れるのは隼人君よ!あの狙撃の能力はピカイチだわ。それに比べて・・・。


 「はぁ〜」


 「な、なんと!?溜め息ですか!?ほら見ろ一蔵!お主に落胆しているではないか!!」


 「小川さん?オレはこう見えても貴方達の殿ですよね?オレが先頭走るから後ろは任せます。慶次さん?横はお願いしますね?」


 「ははは!任せておけ!島津に負けるなッ!!!」


 「剣城様?怪しい者はこの大野が先回りして仕留めておきます」


 こえーよ!いつオレの目の前に来たんだよ!?


 今回は本当に義弘さんにオレも当てられたのか、岐阜では考えられないくらい好戦的になっていると思う。その証拠に散発的ではあるが、志布志城からだろうと思う肝付の兵?農民?らしき人達が、無策に突っ込んで来てくれる為、オレ達は難なく撃破している。


 オレはプロミネンス剣にて、ヨーグルトやプリンを掬うかの如く、軽い剣技で敵を撃破していっている。オレが以前、勝手に命名した【一之太刀】。これを発声して剣を振るうと飛ぶ斬撃が出て、相手が近付く事なく斬れるのだ。正にファンタジー全開な剣に思う。その度にプロミさんが喜びまくってるが。


 ヒュ───ン    ズシャ!


 "はぁ〜・・・光悦・・・・"


 ヒュ───ン    ズシャ!


 "あぁん・・・あたいにもっと吸わせておくれ"


 この脳内に声が聞こえるのだが、言葉だけ聞くと破廉恥に聞こえるが、これは人間の血を欲して出るプロミさんの声だ。我が剣ながら軽く狂気にも思う。


 そして島津兵の人達は何と言うか・・・防御を捨てて、全て攻撃にステータスを全振りしたかのような攻撃だ。少しでも敵に近付き全力の一撃をお見舞いして、一刀にて敵を屠っている。


 「うぅ〜りゃぁッ!!!!!」


 「グハッ・・・・」


 「また懲りずに島津が攻めてきおったか!押し返せ!!」


 ズドンッ!


 接近戦では島津兵の人達が。中距離はオレや慶次さんが飛ぶ斬撃にて。遠距離は隼人君が狙撃にて。かなり少人数だがバランスの取れた部隊だと思う。とにかく島津兵の人達の勢いが止まらない。


 「首置いていけぇ〜!」


 ズシャッ!


 「剣城君!他愛ないか!?」


 「は、はい!大丈夫です!」


 「島津兵共よ!ワシにも殺らせろ!!何も手柄が無い!!下がれッ!!!!肝付の兵達よ!くらえ!!!」


 ズドォォォンッ!!!


 一体どんな身体してるんだよ!と聞きたくなる。小川さんが脇に抱えている大砲は国友大筒銃らしい。明らかに銃じゃなく大砲に見える。重さも見た感じ、80キロくらいあるように見える。例の力が強くなる飯を食べて成せる攻撃だとも思う。


 「おっ!剣城君の家老よ!やるじゃないか!おい達も見習わなくてはならぬな!!御家老殿!若い者に手柄ば残しておいてたもう!島津兵児!叔父の仇ばもう少しだ!手柄ば立てるんだ!!」


 「「「「オォォォォ─────!!!」」」」


 薩摩人と話す時に、義弘さんの口から出るあれが薩摩弁か?すっごい格好よく聞こえるんだが!?


 「がははは!島津の若はよう分かっておる!そうじゃ!ワシが剣城様の家老じゃ!!!!」


 かなり小川さんは上機嫌だけど悲しいかな、そのブッパした大砲もとい国友大筒銃での一撃・・・敵が密集してないし散発的にしか居ないから、効果が全然薄いと思うんだけど!?田んぼはかなり抉られてるけど、敵の亡き骸は2人しか居ないように見えるけど!?






 「おい!伝七!来やがったぞ!」


 「やっとか。高山城からの兵か。いや舟と言うべきか」


 「何でもいいさ。殺りすぎるなと言われているが殺らなければ守れぬからな。見える敵を、見える舟を沈めようか。伝七!お前が水鉄砲で舟を沈めよ。俺が狙撃にて兵を撃つ」


 「ふん。抜かすな!ワシの方が上手い!」


 「な、何を!?今に見ておれ!!」


 ビシュンッ ズドンッ ビシュンッ ズドンッ


 ビシュンッ ズドンッ ビシュンッ ズドンッ ズドンッ


 「ほら!今の見たか!?俺の方が上手い!」


 「なっ!おのれ・・・」


 ビシュンッ ビシュンッ ビシュンッ ビシュンッ!!


 「ふん。他愛ないな?善住坊よ?」


 「クッ・・・こうなればどちらが多く倒せるかが重要だな。俺はお前になんか負けぬ!」


 「ふん。剣城様に褒められるのは俺だ!俺はよく剣城様に飯を誘われる!お前は飯を誘われた事なぞないだろう?」


 「クッ・・・飯はないが、俺は新式の銃があればいつも1番に試射させていただき、俺の意見にて改造がされるのだ!つまりは俺の腕を見込んでくれている訳だ!」


 「よもや口喧嘩する訳ではあるまい?後は結果だ」


 「ふん。望む所だ!」




 「朱華様?見つけました!あの鉄の船がそうです!」


 「何だい?ま〜た戦をしてるのかい?好きだねぇ〜。けど確かにあれは本国、明にもまだ見ない船だ。漕ぎ手も見えないしどうやって動かすのか?」


 「すいません。そこは教えてもらえませんでした」


 「ふ〜ん。何か凄い音が鳴っているが、青銅砲でも装備してるのかしら?あの船が欲しいわね。少し恩を売ってあげようかしら」


 「見る所、大隅国の肝付家と戦っておるように思います」


 「そんな事くらい見れば分かる!ハオユー!鮫の餌になりたいの?」


 バンッ


 「痛ッ!!も、申し訳ありません!!・・・もう一度お踏み下さい!」


 「気色悪い事を言うな!ハオユー!奴らに加勢したとして損失はあるか?」


 「いえ、大隅はあまり取り引きがありません。問題ないかと」


 「ふん。確か尾張国の者と言っていたわね?なら田舎者達だから、少し荷も買ってもらわないとね?ハオユー?分かるわね?」


 ドンッ


 「はっ、うぐっ・・・・もう1発いただければ分かります!」


 「変態男が!!私ゃ言いなりになる男は嫌いと言っているだろ!男は強くて金を持っている者こそ、旦那に相応しいと思っている!ハオユー!貴様は家畜奴隷に丁度良い!」


 「はい!俺は朱華様の下僕奴隷です!もっと殴って下さい!」


 はぁ〜。とんだ部下だ。まあ良い。ハオユーが見つけたこの者達は、私等が知らない事や知らない物を持っていると私は見た。明にバレないように荷を売買し、こっちの品は高値で売ってしまおうか。それにしてもあの船が欲しい。大きさこそ私の船と同じくらいだが、あれはカッコイイ。

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