第7話 感情的な判断に従う

 なぜ勉強しないのか、という問いに対する答えは、したくないからだ、で良い(この場合、なぜ勉強しないのか、というのは反語であることが多いが、それを問いと捉えて、答えるとしたら、という話)。


 人間は、まず、論理的な判断よりも先に、感情的な判断を行う。だから、ある状況が示されたら、それに対する感情的な判断が先に成される。それから、論理的に検証して、論理的な結論を出す、という過程を経るが、多くの場合、感情的な判断の結果出された結論と、論理的な判断の結果出された結論は、同じものではない。というわけで、どちらに従うか、決めなくてはならない。


 勉強したくないのは、将来何の役にも立たないから、とか、自分には向いていないから、とか、色々とそれらしい理由を述べる人がいるが、そういうことは、言えば言うほど言い訳に聞こえるから、相手には悪い印象を与えることになって、却って説得力を欠く結果になる可能性が高い。やらないのは、やりたくないから、やらないでおこう、という感情的な判断をした結果なのだから、やりたくないから、というのが最も合理的な理由である。


 しかし、生きたくないので、死にます、というのは唯一の例外。これは、死にたいので、死にます、の間違えである。

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