第176話 話すように書け

 文章は話すように書けと言われるが、概ねその通りだと思う。


 会話をするときには、自分が言いたいことを瞬時に構築しなくてはならない。つまり、発言内容をくよくよ考えている暇はなく、凝った表現を使おうとするよりも、できるだけ相手に伝わりやすい言い方を選ぶ必要がある。会話とは情報の伝達だから、その情報がより正確に伝わることが、最重要だと考えるわけである。


 これは文章を書くときも同じで、伝わる文章を書かないと、はっきりいって、意味のない文章になってしまう。よく、綺麗な文章を書きたいと言う人がいるが、一番綺麗な文章というものはないから、綺麗にしようと思えばいくらでもできるわけで、そういうことをすればするほど、どんどん相手には伝わりにくくなっていく。


 我々は日本人であり、日本語の文章を書こうとするのだから、瞬間的に思いついた表現方法がマッチしている可能性は、非常に高いといえると思う(もちろん、一定の慣れは必要だが)。話すように書けとは、瞬間的に思いついた言い方で、そのまま書け、という意味ではないだろうか。

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