第159話 無限
あっという間に時間が過ぎて、ああ、このまま自分もいつか死ぬんだろうな、と感じることがあるが、自分が死んでも時間は過ぎるものだから、不思議である。
身近にあって無限に続くものといえば、円、あるいは球状になっているものが挙げられる。陸上のトラックに終わりはないし(スタートとゴールは設定されているが)、地球の上も何周も歩くことができる。しかしながら、それらはスタートとゴールが同じという意味で無限なのであって、時間はそれには該当しない。一度過ぎた時間は二度と戻ってこないと言われるように、時間の流れは常に一方通行で、しかし、それにも関わらず、無限に続くという摩訶不思議な構造をしている。
これに似たものに、川というものがあるが、実は、一度入った川にあとでもう一度入ることは、理論上は可能である。というのも、川を流れた水は海に至り、蒸発して雲になると、やがて雨になってまた戻ってくるからである。こちらも、どちらかというと円状の構造に近いものと思われる。
時間は概念的なものだから、本当はそんなふうに考えることはできないのかもしれない。それなら、今度は数字ならどうだろうか。数字に関しては、見方によって、円状の構造をしているとも、一方通行の構造をしているとも、どちらとも考えることができる(あるいは、その両方の性質を持っているといえる)。
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