第158話 分類によって生じる問題

 分類をすることで、効率よく事物を理解できるようになる場合が多い。たとえば、地球上に存在する生物を分類するときは、まず階層的に、種、属、科……と分け、その中でもさらに細かく分けるし、星に関しても、惑星の周りを回っているのが衛星、水星から海王星までを合わせて太陽系と呼ぶことにしたりと、何らかの区切りを設けて理解の速度を上げようとする。


 分類とは、人間が生まれながらに持ち合わせた一種の技能みたいなものと考えられるが、それがはたらくことで便利になる一方で、問題の原因となりえることもある。人間自身にも分類があって、それが人種と呼ばれるものだが、この人種が原因で紛争が起きた例は計り知れないほど多い。「人間」と一纏めにして捉えれば、こんな紛争が起きるはずはないが、白人と黒人、黄色人種やヒスパニックというふうに、二つ以上の間に(この時点ですでに分類しているのだが)何らかの差異を認めることで、その差異がもとになって争い事が起きる。


 科学は、使い方によっては、天使にも、悪魔にもなりえる、といわれる。それと同じことが、この分類というものにもいえそうである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る