　人間の脳では、二つ以上のことは同時にできないらしい。勉強をしながらラジオを聴く、というのがその典型的な例だが、行動としてはできたとしても、勉強単体で得られる効果、またはラジオ単体で得られる効果は、二つを並行して行うと低下する、ということである。

　二つ以上のことが同時にできないというのは、ある意味では致命的といえる。どれほど頭の悪いパソコンだって、二つの作業を並行して行うことくらいはできる。ブラウザで記事を参照しながら、文書作成ソフトを使って文章を書く、みたいな感じだが、人間の脳では、それすらもできないということになる。ただ、ブラウザは検索のためのシステムだから、人間の脳も、自らの記憶領域を参照しながらほかの作業をすることはできるので、同等のレベルとはいえるかもしれない（ブラウザは記憶領域ではないが）。

　脳に繋がっている器官として、口や耳が上げられるが、それらの器官も、二つ以上のことを同時にするのは得意としていない。ものを食べながら話すことはできないし、二人の話を同時に聞くことも、普通は無理である。

　効率を上げたいと思うのなら、それぞれの作業の速度を上げることに集中した方が、結果的には良いということになる。