第272話 早起きは三ぶんの得

 早起きは三文の得と言われるが、この「文」は「もん」と読むのではなく、「ぶん」と読むのである。


 要するに、早起きすると、執筆が捗るということである。捗るというのは微妙な表現だが、つまりは、余裕を持って書けるという意味である。どんなことでもそうだが、焦ってやると失敗する可能性が高くなる。落ち着いて書けば、自然とアイデアは浮かんでくるし、そういう過程を経て、指もすらすら動くようになる。


 現代では、「文(もん)」という単位は存在しないので、このたとえは分かりにくいが、はっきりいって大した額ではないことを示している。けれど、何の得もないわけではない。早起きは三円の得と言い直しても良いかもしれない。三円では何も買えないが、早起きするための動機にはなりえる。朝日を見ても何にもならないが、朝日を見るために早起きしよう、と思うことができるのと同じである。


 と言いながらも、今日もまた寝坊してしまった。最近は比較的定時に起きられるようになってきているので、もう暫く努力してみたいと思う(思っただけでは、現実は変わらないのだが。……うん? この間言っていたことと矛盾する……?)。

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