第394話 書けるのは内容が先にあるから

 文章が書けないのは、書くべきことがないからだ、と感じる。


 書くべきことがあるときは、頭の中にそのイメージがあるから、ぼんやりとした印象を文字に変換して、並べるだけである。だから、並べ方で迷うことがあっても、出力するべき内容で迷うことはない。それは小説を書くときも、説明文を書くときも同じである。


 小説を書くうえで、何度か書けなくなった経験をしたことがあるが、そのときには、書くべき映像が頭に浮かんでおらず、文体や単語選びなど、文の書き方の方に拘ろうとしていたように思える。本当に書きたいイメージが頭にある際には、書き方など気にならない。頭の中のシーンは次々と変わっていくし、そのシーンは自分にとって好きだと感じられるものだから、書き方で迷っている暇はない。


 文章を書くのは料理と同じかもしれない。何を作るのかが決まっていないと、食材を調理することができず、まったく作業が先へと進まないが、何を作るのかが決まっていれば、次にやるべきことが常にあるから、手は止まらなくなる。また、完成した料理は、自分で食べるなり、誰かに提供したりするわけだから、それを考えるととてもわくわくして、作業はどんどん先へと進む。

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