第21話 生きるか死ぬか

 生と死に対する感じ方は、全部で四つある、と考えられる。①「生きたいし、死にたい」、②「生きたいが、死にたくない」、③「生きたくないが、死にたい」、④「生きたくないし、死にたくない」の四つである。


 普通、人は②のように感じていると思う。常に自分が生きることを望んでいて、まだ死にたくない、と感じている。④のように感じる人は、ほぼゼロであると考えられる。一般的に、生き物は生きるか死ぬかしかないので、それを超越するとなると、別の存在にならなくてはならない(精霊なり神なり)。


 自殺願望がある人は、おそらく③のように感じているのだろう。生きることに疲れてしまって、もういっそのこと死んでしまいたい、という感じか。人には生きる自由があるから、死ぬ自由も等しく与えられるべきだが、死よりは生の方がポテンシャルが高い、ということを留意しておく必要がある。


 ちなみに、私は①のように感じている。もちろん生きていたいが、生きている内に経験することのできない死というものを、一度で良いから経験してみたい、と思う。これは一種の死への憧れだが、生きることを放棄して死に至りたい、ということを意味しない。

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