第171話 数字のマジック

 人間は、数字に弱い、と感じることがある。数字に弱いというのは、数字の運用が苦手だという意味ではなく、数字が関わってくると、ついつい騙されてしまう、という意味である。


 その代表的なものがお金だが、お金の場合、大した差がなくても、より安い方を求めてしまいがちである。安いものを手に入れるためには、大抵の場合その分の時間を浪費することになる。たとえば、定価より安い商品を探そうとすれば、その探すための時間が必要になる。最近は、ネット上でもそうしたソートが簡単にできるようになったが、安いものが見つからなければ、延々と探し続ける結果になりかねない。安さのために費やす時間が割に合わないのに、それでも貪欲に安さ、つまり数字の小さい方を欲しいと感じてしまう。


 ほかにも、読書をする際の本のページ(今日は昨日より十ページ多く読もう、と思ったり)や、ゲーム上のポイント(意味がなくても、ついつい最大値まで貯めてしまいたくなったり)など、数字が示されると、その差が本来意識するほどのものではなくても、より小さい方、より大きい方を求めてしまいがちである。


 英数字ではなく、漢数字を日常的に使うようにすれば、そうした傾向はいくらか緩和されるかもしれない(ような気がするのは自分だけか)。

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