第172話 言葉には幅がある
何かをしながら何かをする、と言う場合、そのしながらというのは、どの程度のレベルを示しているのだろうか。
たとえば、手紙を書きながらコーヒーを飲むと言った場合、左手で文字を書きながら、右手でコーヒーを飲む光景を想像する人はいないはずである。手紙を書くという時間を伴った連続的な行為の合間合間で、適宜コーヒーカップに手を伸ばして、それを飲むというのが、この文が示している内容だと考えられる。
しかしながら、笑いながら泣く、みたいに、どちらも同じタイミングでできる事態を表すこともできる。泣くというのは目から涙を流すことだが、同時に口角を持ち上げて笑うこともできるので、この文が示していることは現実でも起こりえて、正しいといえる。
というわけで、結局のところ、言葉は色々な用い方ができるといった、酷く当たり前の結論に辿り着く。そもそもの問題として、最初の問いの立て方が良くなかったわけで、こういうのを、終わり良ければすべて良しの反対で、始め悪ければすべて駄目という(ことはないと思う)。
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