第165話 ネタがなくても何かはできる

 ネタがないと何もできないと言う人は、いったいどういう意味でそれを言っているのだろうか。


 マグロやハマチなどの魚がなければ、確かに寿司は作れない。寿司を作るためには、最低限シャリと、それからその上に載せるネタがなければ、寿司として成立しない。


 しかしながら、何もネタが載っていない寿司というものを新たに作ってしまえば、それはそれで成立することになる。シャリの上に空気が載っているとか、あなたには見えないだけで、本当は新なるネタが載っているとか、謳い文句は何でも良いが、とにかく、そういうネタが載っていることにしてしまえば、それは単なる米の固まりではなくなる。


 しかしながら、この場合に困るのは、そういう寿司を種類を分けて複数作ると、どの寿司も実質的には同じで、判別ができなくなるという点である。商品として売るからには、どれも同じでは話にならない。それでは差別化ができないので、一見するとシャリとシャリが並んでいるようにしか見えなくても、このシャリはこうで、このシャリはこう違うと、説明できる何らかの根拠が必要になる。


 いずれにせよ、ネタがなくても何かをすることはできると思うが……。……え? 寿司じゃなくて、創作の話?

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