第249話 語彙力!

 テレビのコメンテーターや動画の配信者が、その状況に適切な言葉を思いつかず、何度も同じ言葉を繰り返してしまうとき、周囲から、もしくは本人が「語彙力」と口にすることがあるが、この「語彙力」という発言自体が、そもそも語彙力がないことを示している。


 正しくは、「語彙力がない」である(正しいとは何か)。まるでそれが呪文であるかのように「語彙力!」と叫んだり、そういうテロップが出たりするから、思わず笑ってしまうのだが、これでは「変身!」と大して変わらないのではないかと思う。


 たしかに、そう考えると、「語彙力!」と叫ぶことで、適切な語彙が舞い降りてきてくれることを期待しているのかもしれない。ヒーローは「変身!」と叫ばないと変身できないから、それと同じである。けれども、本来は「語彙力!」と口にする前に適切な発言をしなくてはならないのであり、敵にふっ飛ばされてから「変身!」と叫んでも意味がない。


 いったい何の話をしているのかと思われるかもしれないが、実は何の話もしていない。何を書こうかなと考えた挙句、良いアイデアが思い浮かばなかったので、「○○○!」と叫んだ次第である。

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