第352話 常に百に満たない値を

 どんな場面でも、百パーセントの力は出さない方が良いと、個人的には思う。


 思う、と書いた通り、そう思うだけで、なぜそう思うのかは分からない。ただ、感覚としては、ものを作るときに遊びを持たせるのと似ている。遊びとは、螺子を締める際に完全に締めるのではなく、少し余裕を持たせて締める、その余裕のことである。文章を書くときも、一文が長くなりすぎないように、適宜読点を打って書いていくが、その間も遊びに似ているように思える。


 百パーセントの力を発揮すると言うと、もちろん聞こえは良い。だが、実際に百パーセントの力を出してしまうと、余裕がなくなってしまう。基本的に、人間は明日も生きていく前提のもとに生活しているから、今日百パーセントの力を出してしまうと、明日がどうなるか分からない。もしかすると、明日も百パーセントに近い力を発揮することが求められるかもしれない。その際に、今日百パーセントの力を出してしまったら、明日を生きる術がなくなってしまう。


 どんなときにも、余裕を持っておくことが大切だと感じる。ただ、余裕がありすぎても困るので、そこは適宜調節しなくてはならない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る