第351話 前提のもとに言動を選ぶ
自分が間違えていることに気がついたら、直ちにそれを認めて言動を改めるというのが、最も合理的である。反対にいえば、間違えていることに気がついたのに、それでも言動を改めないというのが、最も不合理である。
デメリットを最小限に抑えるという意味で、論理的に考えれば上記のような結論に至るのだが、現実問題として、そう上手くはいかない。なぜなら、人間にはプライドというものがあるからである(人間にはといったが、すべての人間を調査したわけではないので、そうでない人間もいるかもしれない)。これは事実なので、目を逸らすわけにはいかない。いくら合理的な結論がどういうものか分かっていても、プライドのせいでデメリットが生じることはしばしばある。
ではどうすれば良いのかというと、自分にはプライドがあって、それが時折合理的な結論に従うのを阻害するという前提のもとに、言動を選べば良い。予め相手に自分にはどういうプライドがあるのかということを知ってもらうというのも、その前提に立つための良い方法だといえる。計算するときに一番重要なことは、計算間違いをするかもしれないという前提に立つことだと書かれた本を読んだことがあるが、まさにその通りである。
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