第229話 フォントによる印象の違い

 文章を書く際には、フォントが齎す効果を気にするのも重要だと思う。どういうわけか分からないが、フォントによって受ける印象は異なる。教科書には教科書体という特有なフォントが使われているし、一般的な書物には明朝体が、新聞などの見出しにはゴシック体が使われている。


 ゴシック体はポップな印象を受けるから、文庫本のすべてのページにゴシック体で印字したら、同じ内容でも明朝体とは異なる印象を受ける。反対に、プレゼンをする際に使うスライドには、ゴシック体が使われることが多いが、それらをすべて明朝体にしても、なんだか妙な感じがするに違いない。


 要するに、時と場合によってフォントを使い分けようという話になるのだが、この性質を用いて逆の効果を狙うこともできる。たとえば、馬鹿げたことを書く場合、それを明朝体を使って書くと、より一層面白く感じられる。


 その逆のこともいえる。明朝体で書かれているからといって、必ずしも内容が真面目だったり、正しいわけではない。

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