第385話 読むのと書くのは違う

 文章を読むのと、書くのでは、捉え方が異なる。


 読む場合は、左から順に文字を追っていって、一区切りするところまでとりあえず読み通し、それから意味を推測するという方法をとることが多い。もちろん、すべての人が同じとは限らないが、自分としては、それが一番読みやすい。これはあくまで文レベルの話だが、同様の方法を段落にも、章にも、はたまた文章全体にも適用することができる。


 一方で、書く場合は、左から順に書いていくのに変わりはないが、その出力する一歩手前の段階で、次のことも考えている。低いレベルの話では、一つの単語を書く前に、その次の単語のことを考えているし、もう少し規模を大きくすると、二つか三つ先の文のことを考えながら、今の文を書いている。


 最終的には、書いた文章が、誰が読んでもある程度は同一の内容として捉えられるように推敲しなくてはならないから、文は文としてきちんと整えられることになるのだが、読み手と書き手ではそもそも文の捉え方が異なるから、書き手は読み手の読み方を想像しながら書くことしかできない。そういう意味でも、書き手は読み手にはなれない。

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