第325話 絶対的な「面白い」はない

 「○○の中で一番面白いものは何ですか?」という質問を、しかもネット上でする意味はほぼない。


 上記の質問を、自分の身近にいる人にするのはまだ意味がある。その相手の考え方や趣味趣向を知っているので、返ってきた回答がどのような意図のもとに発せられたものなのか、ある程度推測できるからである。しかしながら、ネットという開けた空間で、誰か分からない人にこの質問をしても意味がない。それは、単なる統計的なデータの一つとして処理されるだけであり、その回答そのものに意味があるとは到底いえない。


 この世界に「面白い」という性質を帯びたものは存在しない。「面白い」とは、個人が抱く感想である。だから、自分にとっての「面白い」と、ほかの人にとっての「面白い」は必ずしも一致しない。比較対象がある場合での「大きい」なら絶対的な答えがあるが、「面白い」というのは、それとは性質が異なるということである。


 上記のような質問をするのは、ほとんどの場合、まず自分が面白いと思っているものがあって、ほかの誰かから同じ意見を言ってもらうことで、安心感を得たいときである。自分が面白いと感じたものはすべて面白いので、そういう意味では、他人の意見はあまり気にする必要はないと思う。

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