第237話 理解できないのではない
犯罪者の気持ちは理解できないという人がいるが、理解できないというのは少し違うと思う。
大前提として、他人の気持ちを完全に理解することは不可能である。わざわざ説明するまでもないが、自分は主観的に世界を観察することしかできない以上、自分を他者に完全に投影することはできない。
しかしながら、自分の経験と照らし合わせて、他者の気持ちを想像することは可能である。殺人を犯した人は、きっとどうしようもなく許せないことがあって、ついかっとなってやってしまったのだろうと想像することはできるし、人を殺したくなるほどかっとなることくらい、どんな人にでもあるのではないだろか。
また、常軌を逸した猟奇的な殺人の場合でも、犯罪者の気持ちがまったく理解できないということはないはずである。町行く人々を滅多刺しにしたり、ライフルを乱射したりと、色々な猟奇的な事件が起きてきたと思うが、たとえば、ゲームをやったことがある人なら、それに近いことをゲームの世界で実行したこと、もしくはしようと思ったことがあるのではないだろうか。
要するに、そうした人の気持ちが理解できないのではなく、自分はそうした人とは違うと差別したいだけで、それは事実と願望の摩り替えと同じだから、あまり宜しくないということである。
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