第238話 病気とは差

 病気とは何だろうか。


 病気は病気でしょという声が聞こえてきそうだが、何をもって病気と呼ぶのか疑問に思う。病原菌によって体内環境が侵されたり、精神的に不安定だったり、化粧品の使いすぎで肌が荒れていたりなど、病気には様々な種類が存在するが、それらに共通しているのは、一般的ではないという点である。


 ある病気を患っている人は、そうでない人よりも数が少ない。つまりは少数派なわけで、それは一般的ではないということである。毎年冬になるとインフルエンザが流行するが、インフルエンザウイルスに感染して発症する人の数は、そうでない人よりも決して多くはならない。要するに、病気とは皆と違う状態ということができる。もし地球にいる九割の人間が常時インフルエンザを発症している状態になったら、それは最早病気とはいえない。そちらの方が数が多く、それが正常だからである。


 結局のところ、ほかの人との差を考えて、病気を病気として定めるからこそ、病気は病気たりえるのだという結論に至る。

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