　世界で一番の練習をした人が、一位の座を掴むとする主張があるが、そんなことはないと思う。

　スポーツの例を考えてみれば分かるが、決勝戦に残った選手は、はっきりいって全員が世界で一番の練習をしている（これは比喩だが、意味は伝わるだろう）。しかしながら、それでも最終的に順位が決まるのは、その他の条件が微妙に異なるからである。そもそもの話として、人間は動物であり、筋肉のつきやすさや骨の太さを決めるDNAにばらつきがあるわけで、その時点ですでに差があるし、競技をスタートする位置だったり、風向きや光の当たり具合など、色々な条件が少しずつ違う。要するに、そうした外的な要因から影響を受けることで、個人の成績は少なからず左右されるということである。

　自分が世界で一番の練習をしたつもりでも、それで一位をとれるとは限らない。人間はほかの多くのものと互いに影響し合っていて、その影響を個人レベルで制御することはできない。だから、結果に拘りすぎずに過程を楽しむのが良いと思うし、どうしても一位をとりたいのなら、何度も挑戦すれば良い。