　挨拶に煩い人には、「人って、どうして挨拶なんてするの？」と尋ねてみるのが良いでしょう。これは反語ではなく、純粋な疑問として尋ねているつもりです。それですらすらと答えられるようなら凄いですが、自分だったら、訊かれてもたぶん答えられないと思います。

　挨拶なんてしない方が良い、と言っているのではありません。するのは間違いではありません。単純に、ああ、挨拶って、どうしてするんだろう、と疑問に思うということです。最初に何かしらのサインがないと、これから会話なり一時的な関係なりが成立するということが伝わらないからでしょうか。そして、挨拶というのにも色々種類があって、自分がよくするものとしては、片方の手を挙げたり、それをピースサインにして示したりするものが挙げられます。これは口で言っているのではありませんが、形で示している点でやはりそれも記号で、「こんにちは」と口にするのと何ら変わりはありません。

　出会ったときには挨拶をしない人でも、別れるときには挨拶をすることが多いように思えます。出現に比べて、消失の方が境界線が幾分曖昧だからでしょうか。