第47話 同じことをするのは好きだから?

 同じことを頻繁にやっていると、それが好きなんだね、と言われることがあるが、そうとは限らないし、むしろそうではないことの方が多い。


 たとえば、毎週とあるアニメを観ているだけで、アニメが好きなんだね、と言われたことがあるが、別にアニメが飛びきり好きなわけではないし、ましてやアニメしか観ないというわけではない。それなのに、なぜか、周囲の一部の人間には、「アニメが好きな人」と認識されている。たしかに、ある対象が好きである、といった限定されたことについて述べているだけだから、言っている内容は間違いではないが、そういうレッテルを貼るのはおかしいだろう。そういった特徴を強調したいように見える。


 人間は日々酸素を吸って生きているが、それでは、皆酸素が好きなのだろうか。毎日酸素を吸っているのだから、酸素のファンだろう、という主張が成されもおかしくないはずである(上記のようなことを言うのなら)。ほかにも、毎日風呂にだって入るし、毎日食べ物を食べているのだから、皆風呂のファンだし、食べ物のファンである、いっても良いではないか。


 結局のところ、そういう人間なのだ、というレッテルを他者に貼ることで、自分の安心感を手に入れたいのだろう、と私は考えている(それが悪いとは言わない)。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る