第48話 完璧なのは良くない

 映画や小説の感想で、「私はこれは完璧だと思った」みたいなものを見かけることがあるが、個人的には、完璧なものはあまり良いものではない、と考える。


 人間には、生来の性質として、完璧や完全を求める特徴が備わっている。たとえば、誰しもが(できるなら)テストで百点をとりたいと思うし、誰しもが(できるなら)ボーリングですべてのピンを倒したいと思う。これは「生来の性質」なのだから、あなたが自分で考えた結果として、完璧な方が良いと判断したのではない。つまり、これは、言い方を変えれば、神様にそのように設計されていて、あなたはその通りに動いたにすぎない、ということになる。もっと噛み砕いて言えば、動物的な本能に従っただけということである(この表現は些かおかしいが)。


 したがって、完璧にしたくても、あえてそれに反発する、というのが、最も人間的な行いであるといえる。創作物についても、完璧ではない部分が残っていた方が良い。完璧な作品は、あなたが作ったものではなく、神様が作ったものである。

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