第283話 フレーム効果

 フレーム効果というものがある。額縁に収めることで、どんな絵でも立派に見えるというものである。


 スクリーンに映像を投影するのと、テレビに映像を映すのとでは、受ける印象が異なる。スクリーンに投影するよりも、テレビに映す方が硬い印象を受ける。ほかにも、文章なら、パソコンでPDFの状態で見るよりも、紙に印刷した方がそれっぽく見える。


 フレーム効果は、物理的なものでなくても、現実の色々なところで姿を見ることができる。たとえば、その空間に何かの専門家が一人しかいなければ、その一人が大層立派に見える。学校の中で抜きん出て勉強ができる生徒が一人いれば、全国平均と比べてどうこうということに関係なく、天才に見えてしまう。


 フレーム効果の影響を受けないようにすることは難しいが、反対に、それを利用することは簡単である。自分が何かを提示する際には、その内容に拘るのではなく、それを取り巻く環境の方を整えれば良い。しかしながら、中には本質を見極める能力を持った人もいるので、要注意である。

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