　ものを宣伝する場合に、効果的な方法がある。それは、人間の根本的な欲求に訴えかけるというものである。

　たとえば、テレビの食料品のコマーシャルで、人が美味しそうに食べ物を食べているシーンを流すというのが、それに当たる。これは、人の食欲に訴えかけるものであり、人間は食べないと生きていけないので、非常に効果的な方法である。また、少年誌などの表紙にアイドルのグラビアを掲載するというのも、その一つである。狭義の意味ではなく、公儀の意味で、人間には性欲がある。これも、生涯解放されることのないものであり、一定の効果が確認されているから、実際にこのような手法が使われていると考えられる。

　人間の根底には、こうした欲求が存在することを考えると、一見それとは関係のないものでも、実は深く欲求と関係しているという場合もあるかもしれない。どこか遠くの国の風景を描いた繊細な絵画を欲しいと思うのも、何らかの根本的な欲求のせいだと考えることもできるということである。