第33話 死んだから生まれた
生きているから死ぬ、という主張は正しいが、それだけではない。この主張の裏には、死んだから生まれた、というもう一つの重要な側面が隠されている。
生き物は生きているから、そのゴールには当然死が待っているわけだが、これではあまりにも当たり前すぎる。というわけで、少し視点を変えて見てみると、生と死に関する少し違った特徴が見えてくる。それが、死んだから生まれた、というものである。自分が今生きているのはどうしてか、と考えてみると、それは自分ではない誰かが死んだからだ、ということが分かる。もし同じ個体が死なずに永遠に生きていられるのなら、ほかの個体が生まれる必要はない。これを反対に言えば、ある個体が永遠に生きることはできないから、つまり、ある個体が死んだから、次の個体が生まれた、ということになる。死んだから生まれたとはそういう意味である。
日本では少子化が進んでいるらしいが、それは一つの個体が長生きするようになったことと関係があるかもしれない。死なない(死ににくい)のだから、生まれる必要がないだろう、ということである。
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