第337話 最終的には孤独な人間

 アドラー心理学で、馬を水場に連れていくことはできても、その馬に水を飲ませることはできない、といった例えが出てきた気がするが、まさにその通りだと思う。この場合の「飲ませることができない」というのは、自らの意思に関係なく飲ませる、ということを示す。


 子どもに勉強を教える場合、勉強するように仕向けることはできても、当の本人にその気がないのなら、彼らは勉強をするようにはならない。たとえ表面上は一生懸命勉強しているように装っていても、その内容を習得しようという気がなければ、勉強する意味はない。要するに、自らの意思で「勉強しよう」と思わない限り、勉強をすることはできないということである。


 そういう意味で、結局のところ、人間は孤独だということになる。誰かが自分の代わりに何かをしてくれるわけではなく、最終的には自分の意思がすべてになる。自分で変わろうと思わない限り変われない。ただ、変わろうという意思があって、他者に頼ることはできる。


 某アニメで、「助けない、力を貸すだけ」という台詞がある。こちらはあくまで「力を貸す」だけであり、結果的にその人が「助かった」としても、それはその人が勝手に助かっただけで、こちらが「助けた」のではない。

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