第464話 日本語、難しい

 今日はこれから色々とやる。色々とというのは、世間的にはお茶を濁す表現として使われているらしい。音楽の話題で、「何を聞くの?」という質問に対して、「色々」と答えれば、それ以上訊くなというサインになる。自分もそういう使い方をすることもあるが、問題なのは、本当に色々聞くのだ、ということを伝えたいときで、お茶を濁すときと同じ表現を使わざるをえないというのが、コミュニケーションの煩わしさを助長しているように思える。


 「意味がない」と言った場合、多くの人は「意味がない」で一セットとして捉える。つまり、マイナスの発言として受け取るわけである。けれども、この文自体は、「皿がない」とか、「予定がない」とかと同じように、「Xがない」という構造をしているわけで、純粋に「意味」「が」「ない」と言う場合にも同様の表現を使わなくてはならない。ただし、この場合、「意味」という単語が色々な意味を持っているという、別の問題も孕んでいる。多くの場合、「意味がない」と言った場合の「意味」とは「効果」のことであり、" meaning "がないと言っているのではない。


 何を言っても、何をしても、普通なら「意味」はあるし、見る側によっても様々に「意味」は付加される。

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