第332話 感情を論理的にオブラート

 よく、叱ったり注意してくれたりするのは、あなたのためを思っているからだ、みたいなことを言う人がいるが、たぶん、そんなことはないと思う。


 そんなことはないというのは、そういう発言を否定的に捉えているという意味ではなく、そこまで意識的なものではないだろう、ということである。つまるところ、叱ったり注意をする際に、いちいち「こうすれば、この人のためになる」と考えて行動しているわけではない、ということである。叱ったり注意をするのは、もっと突発的な行動である。


 結局のところ、人間は感情で動いている。感情的に動いているというのも、別に否定的な意味ではなくて、そのとき心の内に抱いた感情を、論理的に再思考して口に出している、ということを示す。上記の例でいえば、先に「それはいけない」という感情的な判断があって、それを「どうやって伝えれば良いか」を論理的に考えているということである。反対にいえば、先に論理的に考えて、そこから感情を発動させているのではないということになる。


 根底にあるのは感情だが、感情に任せて叱るのは良くない。

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