第6話 奉仕は見返りのためではない

 頼んでもいないのに、やってあげたのに……、と言って、不平を言う人間がいるが、そんなつもりなら、何もしなければ良いではないか、と思う。


 もちろん、誰しも人間なのだから、他人に奉仕したら、それなりの見返りが欲しい、と思うのは分かる。けれど、個人的には、思うだけで、それを口にしたり、それが原因で八つ当たりをしたり、といったことは、しないで頂きたい、と感じる。そもそも、頼まれていないのに、あなたは、どうして、私にそんなことをしようと思ったのか、と甚だ疑問に思う。最初から、見返りを求めてそんなことをしたのなら、もう、人間として、アウトだろう。


 キリスト教の教えに、隣人愛、というものがあるが、それは、キリスト教でなくても、実践する価値がある(と言いながら、私は、それがどんなものか、詳しくは知らない)。自分がやってもらいたいことは、なんでも、他人にもしなさい、という内容だったはずだが、まさにその通りで、やってもらいたいのなら、こちら側からやるしかない。そして、見返りを求めてはいけない。見返りを求めないことで、帰ってくる見返り、というものがあることを、理解するべきである。

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