第197話 皆に自分は含まれない
「皆持っているから欲しい」とか、「だって、皆がそう言うんだもん」というのは、小学生くらいの子どもがよく口にする(少なくとも、そういうイメージがある)主張だが、自分は皆の一部ではないので、従う必要はない、と反論することができる。
基本的には、皆という言葉には自分は含まれない。上記の文でも、「皆持っているから欲しい」ということは、自分はまだ皆が持つ性質を帯びておらず、それを所有することでこれから皆の仲間入りをしたい、ということを示しているが、たとえ所有したからといって、自分が皆の一部になることはできない。皆という言葉が指すのは、自分から見たその他大勢のことであり、その場合の主体になっている自分は、その他大勢には含まれないからである。
先生が教壇の前に立って、「皆で力を合わせて頑張りましょう」と生徒に言った場合、この皆に先生自身が含まれているのかは、微妙なところである。含まれているとも捉えられなくはないが、強調したいときには、「先生も一緒に頑張りますから、皆も頑張りましょう」みたいな言い方をすることを考えると、前者の場合はあくまで生徒に語りかけているだけで、先生自身が含まれないと考えることも、充分できる。
自分は主体であり、世界を見るただ一つの絶対値なのだから、その他大勢の一部と考えることは難しい。
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