第269話 面白さの原因追求

 楽しさ、面白さ、美しさというものには、本来原因や理由は必要ない。それに触れて楽しければ良いし、面白ければ最高だし、美しければ感動する。感情とは、本来そういうものだと思う。それがどれほど社会的に認められていないものでも、どれほど現実離れしたものでも、そのときの自分が面白いと感じたら、それは面白いものである。


 しかしながら、一方で、そうした感情が発生する原因や理由を、あえて探ってみるというのも、それはそれで面白いと思う。たとえば、人を楽しませる映画には、どのような共通項があるのかと考えたり、どのような比率を見たときに美しいと感じるかを研究したりなどである。そうしたものが分かれば、自分が何かを作る側に立ったときに役に立つし、日常的にも面白いことを思いつけるようになるかもしれない。


 ただし、このときに気をつけなくてはならないことがある。それは、そうした追求の結果分かった要素が含まれていても、必ずしもそれが面白いものになるとは限らないということである。要するに、命題の逆が必ずしも正しいとは限らないということである。あくまでうした共通項の存在が認められるというだけなので、それは傾向について述べているだけにすぎない。絶対的な値は存在しないということである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る