第87話 よく売れたとはどのくらい?

 本やCDの売上は、何万部という単位で表現するが、果たして、これはどのくらいの数字なのだろうか。


 たとえば、新書なら十万部売れたらベストセラーらしいが、一人が一冊ずつ買ったとして、日本の人口は約一億二千万人なので、計算すると、総人口のおよそ〇・〇八パーセントがこの本を買ったことになる。一万人いたら八人がこの本を買ったことになるが、これは、多いのだろうか。それとも、少ないのだろうか。もちろん、人によって多い少ないの感覚は異なるが、買っていない人の方が多いのは事実である。


 このように、ある商品が大変良く売れたとしても、日本の中のほとんどの人がそれを買った、ということは考えにくい。先ほどの計算では十万部売れたことにしたが、これを仮に百万部にしても、総人口に占める割合は〇・八パーセントにしか至らない。特に本やCDとなると好みがはっきり分かれるから、ほかの商品に比べて、多く売るのはより一層難しくなると思われる。


 ある本やCD、ときには映画が物凄く流行ったとしても、それで流行に乗り遅れたと感じる必要はない。なんだ、一万人いて十人知っている程度か、と思っておけば良い(年齢層によって差は出るが)。

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