第240話 勉強は一人でやるもの

 勉強は最終的には一人でやるものだと思う。学校や塾では皆と一緒に勉強するが、それは勉強ではなく、学習である。そのとき話されていることを一時的に脳内のワーキングメモリで思考し、ああ、なるほど、と思うことは普通の人ならできるし、人間にはもともとそういう能力が備わっている。一方で、その日学習したことを定着させるために、翌日から自分で繰り返し学習し直すことができる人は、前者に比べれば多くはない。この定着させるために何度も繰り返し学習することが、勉強と呼ばれるべきものだと考える。


 勉強とは単なる記憶だと思う人もいるかもしれないが、個人的には、勉強は単なる記憶ではなく、技能の定着だと思う。たとえば、初めてアクションゲームをするときに、操作方法を見てボタンの配置とその効果を覚えるのは単なる記憶だが、それを実際にやってみて、何度も繰り返すことで手もとを見なくても操作できるようになるのが、技能の定着である。そのプロセスが勉強なのであり、いってみれば筋力トレーニングみたいなものである。筋力トレーニングは、多くの人と同時にすることはできるが、結局は個人が意識的に行うしかない。


 もちろん、中には何度も繰り返す必要がなく、一発で何もかも定着させることができるという人もいるかもしれない。

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