第27話 新しい何か

 自分が欲しいと思った機能は、大抵の場合すでに存在している。たとえば、パソコンで文書ソフトを使って文章を書いているとき、各段落ごとに空行が欲しいな、と思って調べてみると、その機能はすでに存在していた。ほかにも、平仮名で書いた文字をカタカナに変換したり、あるいはアルファベットに変換したいな、と思って調べてみると、その機能も同じくもう実現されていた。こんなふうに、(あくまで個人的な印象だが)自分が思いつくことは、多くの場合、ほかの人も思いつく。自分が最初ということはかなり少ない。とある機能を思いついた人がいても、その人がその機能を実現していないだけ、ということもありえる。


 新しいものを作るときは、まったくのゼロから何かを生み出す、という方向性では失敗する。既存のものの形を変えたり、あるいはほかのものと組み合わせることで、いわゆる新しいものができあがる。この地球上に存在する物質の種類は限られているから、あとはそれをどう使うかが鍵になる、という話と同じである。作曲をしたり、あるいは小説を書いたりする場合も、別のジャンルのものを取り入れることで、新しいものができることが大半である。既存のものを如何に新しく見せるか、ということが最も重要だと思う。

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