第247話 文の線状性

 文には線状性というものがあるらしい。線状性とは、線のように一列に並び、(横書きの場合は)左から右へと流れる性質のことである。書くときも、読むときも、たしかに文は左から右へと進むし、それらには前後関係が存在する。


 文を読む際には左から右へと進むが、実際のところ、そんな見方をするのは、それこそ文を読むときくらいである。映画を観るときには左から右という流れはないし、富士山を眺めるときにもその流れは存在しない。映画を観る場合には、頭の中でストーリーの流れを認識する際に、左から右へと流れる様子を想像するかもしれないが、富士山の場合は全体を一度に認識するから、そんな流れはない。


 本を読む際に、ページを開いてとりあえず全体を眺めることは、できるだけしない方が良いかもしれない。たとえば、科学的な内容が書かれた本を開いてみると、そこには所々に色々な数式が記されており、その印象だけが認識されて、読む気がなくなってしまう。文の線状性が無視されてしまうからである。


 それとも、どうにかして、ページを眺めただけで内容を把握できるようにはならないだろうか。

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