第45話 単語に拘る?

 言葉、特に単語を間違えるのは、それほど重大な問題ではない。他人と話していると、ときどき相手が単語を言い間違えることがあるが、それをいちいち指摘する必要は皆無だといって良い。なぜなら、その間違えに気づくということは、あなたには本来の正しい意味で伝わっているということだからである。これは文章でも同じことで、本を読んでいて誤植を発見しても、それが原因で文の内容がまったく分からない、ということはほとんどない。


 一つの単語を間違えても、それで内容が伝わるのは、その単語の意味が前後の単語に依存しているからである。もう少し言い方を変えると、ある単語と単語を並べるとき、それらのもとの意味が若干曖昧になり、融解してそれぞれが混ざり合う部分が生まれる。こうなることで、それらの組み合わせが一つの纏まりとして認識されるようになる。


 書物などで、一つの単語に非常に拘って書かれているものがあるが、私はそういうことはあまり重要ではないと考える。それは、現代で書かれたり、あるいは話されたりするものに対して特にそう感じる。結局のところ、内容が相手に伝われば良い。最も良くないのは、内容が相手に伝わらないことである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る